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Jリーグ 7年前

天野純が磨き上げた「左足1本」へのこだわり。マリノスで目指す「俊さん」の継承

text by 舩木渉 photo by Getty Images

内田篤人も驚いた天野純のキック精度

 そう考える根拠は確かにある。天野が昨季直接フリーキックを決めたのは、リーグ戦で挙げた5ゴールのうち、J1第33節のベガルタ仙台戦での1つだけだった。しかし、今季はすでに2本のフリーキックをゴールネットに蹴り込んでいる。

 1本目は4月28日に行われたJ1第11節の鹿島アントラーズ戦でのもの。その直前の北海道コンサドーレ札幌戦の終盤に、GKク・ソンユンのスーパーセーブに阻まれたキックとほぼ同じ位置から、全く同じ狙いで蹴った1本が鹿島戦の勝利を確実にする1点となった。

 天野は鹿島戦終了後、「あの札幌戦の感覚があったからこそ狙ったゴールだし、昨年よりもボールスピードが出るようになっているので、あの距離(ペナルティエリア手前から)は自分の射程圏内かなと思っています」とフリーキックへの自信を語っていた。

 対戦相手も天野のキックに驚きを隠さない。鹿島の元日本代表DF内田篤人は「すごいよね。俊さん(中村俊輔)かと思った。蹴り方とか」と、かつてマリノスや日本代表で10番を背負った国内屈指のフリーキッカーの姿を、天野に重ねていた。

 トリコロールの14番と、かつての10番は、キックフォームが瓜二つで、天野自身も「真似していないと言ったら嘘になるので、やっぱり見て学んでいることもある」と、間近で見ていた大先輩への憧れを認めている。

 一方で「キックのボールの軌道はちょっと違うと思う。そこは俊さんと僕の違いだと思います」とも。確かに中村俊輔の蹴ったボールは縦に鋭く落ちる軌道になることが多いのに対し、天野は横方向のカーブがかかったボールを蹴ることが多い。

 そして決定的に違うのは、フリーキックに対する「感覚」である。天野に関して言えば、今季のチーム練習中、もしくは練習後に味方に合わせるセットプレーの確認はしていても、直接フリーキックを蹴っている姿を見た記憶がない。

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