「今はフィーリングがいい。今後も高い確率で決まるかも…」
スタジアム全体が一瞬どよめき、すぐさま歓喜が沸き起こった。ガンバ大阪のレヴィー・クルピ監督が「今季のベストゴール、一番美しいゴールを決めたということは高く評価してもいい」と絶賛した藤本淳吾の60m級のロングシュートに引けを取らない、あまりにも芸術的なフリーキックが決まった。
今月12日に行われた明治安田生命J1リーグ第14節の横浜F・マリノス対ガンバ大阪の61分に、そのゴールは生まれた。直前に藤本の一発で先制を許したマリノスは、敵陣ペナルティエリア手前でフリーキックを獲得する。
ゴールに向かって左寄りで、セットされたボールの前には右利きのウーゴ・ヴィエイラと、左利きの山中亮輔、そして同じく左利きの天野純が立つ。蹴ったのは天野だった。鋭く横にスライスしたボールは、ガンバのGK東口順昭が賢明に伸ばした腕をかすめ、ゴールの左上隅に突き刺さった。
クロスバーぎりぎりの軌道のボールを蹴られては、どんなGKでもセーブするのは難しい。あれは東口でなくとも、止めるのは至難の業だろう。
「壁の配置をちょっと間違えているのかなと思って…」
天野が狙ったのは、ガンバが作った4枚の壁の左端に立った選手の頭上だった。「一番端の選手が(最も身長の低い藤本)淳吾さんだったので、その上を狙えば入るかなと思って。そのイメージ通りにいったんで入りました」と、その場面を振り返る。
ガンバが作った壁には、右からマテウス・ジェズス、ファビオ、長沢駿と、それぞれ186cm、187cm、192cmの長身を武器にする選手が配置されていた。だが、左端の4人目だけは身長173cmの藤本だった。
「今はフィーリングがいいので、あそこ(ペナルティエリア手前)でファウルもらったら、今後もだいぶ高い確率で決まるのかなと思います」