W杯へ向け、慢心はなし
「ドルトムント戦の6-0は、今ではバイエルンの試合へのハメスの影響がどれほど大きいかを示した。このMFは至る所に顔を出した」
ハメスの影響力の大きさについては、2月3日のマインツ戦の後で、同僚のセバスティアン・ルディも述べている。
「彼はいつもパスを出せる状態にある。彼はいつもボールとともにあろうとするし、選手はいつも彼からボールをもらう。彼の傍でプレーすることは、とてつもなく楽しいね!」
バイエルンで輝きを取り戻したハメスは、4歳の頃にサッカーを始めたという。
「父親もまたサッカー選手だった。いわば僕のDNAの中にはフットボールが組み込まれているんだ。サッカーを始めた頃は、朝の8時から夜の19時までボールを触っていたよ。僕の人生はサッカーそのものだった。プロになりたかった。いつもスターになることを夢見ていたんだ」
そして16歳の頃、ハメスは王様だった。向かうところ敵なしだったのだろう。
「16歳の時、考えていた。『僕は全てを知っている』ってね。あの頃はそうだった。もちろん、大きな誤りだ」
裸の王様だった。だが、自らが裸であることに気付かず、多くの人間が消えていくこの世界で、ハメスは違った。
「それから成長して、気が付いた。まだ多くのことを学ばなければならないということにね。僕は今26歳だけど、今でも毎日新しいことを学んでいる」
マドリードで挫折を味わい、ミュンヘンで力を取り戻し、真の玉座に就こうとしているハメス・ロドリゲス。
ロシアW杯に向けて、慢心はない。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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