失敗続きの英国人監督“ビフォア・ガラパゴス”
サウサンプトンの吉田麻也も、環境を変えるべきかもしれない。3月14日に就任したばかりのマーク・ヒューズ監督は、降格が現実味を帯びていたクラブをプレミアリーグに留めたのだから、上層部はさぞかし高く評価しているだろう。
しかし、今季もストーク・シティを追われ、クィーンズパーク・レンジャーズ、強くなかった当時のシティを解雇された経験を持つ、いうなれば〈失格者〉である。
戦略・戦術が日々進化するなかで、ヒューズはサム・アラダイス監督(エヴァートン)、デイビッド・モイーズ監督(ウェストハム)などともに〈ビフォア・ガラパゴス〉だ。アラン・パーデュー(前ウェストブロム監督)も同類だろう。
対戦相手の分析もそこそこに、モチベーションを過信する。勝負事の優劣は7割型メンタルで決まるとの定説もあるとはいえ、ピッチ上のシチュエーションに備えられなければ勝利は自然と逃げていく。〈ビフォア・ガラパゴス〉が失敗する理由はここにある。
また、イングランド以外で監督をした経験がないため、フットボールの視野が極端に狭い。分かりやすくいえば、応用力の欠如だ。対戦相手がフォーメーションを代えると対応策がなく、茫然としているケースも少なくない。
グアルディオラ監督だけではなく、ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督、トッテナム・ホットスパーのマウリシオ・ポチェッティーノ監督など、プレミアリーグには戦略家が増えてきた。ニューカッスルのラファエル・ベニテス監督は複数のゲームプランを用意し、質・量ともに脆弱なチームをあっさりと残留に導いている。〈ビフォア・ガラパゴス〉が絶滅する日は、すぐそこまでやって来た。
ヒューズとの契約は今季終了までだ。残留で契約延長は危険すぎる。もし、上層部が間違いを犯したら、吉田はサウサンプトンを出ていった方がいい。このチームを愛していたとしても、ヒューズでは先がない。
(文:粕谷秀樹)
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