CLでは残念な結果に
リーグタイトルはモナコに奪われたが、シーズン幕開けのスーパーカップ、リーグカップ、フランスカップの3冠を手にした昨シーズン、そしてリーグ優勝も達成し、国内完全制覇の4冠を成し遂げた今シーズン。
エメリは2年間の在籍期間で、7つのトロフィーをクラブにもたらした。
その自身の出来を採点するなら?とその後の会見で尋ねられると、「まずまずの結果は出せたと思うので、トロフィーの数と同じで、7点」と、はにかんだように答えた。
クラブが最大の目標としているCLでは、成功と呼べる結果は残せなかった。
それどころか昨年は、ラウンド16でバルセロナにホームで4-0と勝利したあとの第2レグで6-1と信じ難い逆転劇を味わわされた。この試合はPSG史に『カンプノウの悲劇』として深く刻まれている。
そして今年も、今度は同じリーガ・エスパニョーラの雄、レアル・マドリーと同じくラウンド16で当たり、総計5-2で完敗した。
エメリ監督の採用には、スペインの強豪対策という意味もあったことを思うとこれは残念な結果であり、実際にこれらの試合での采配にももう少し期待していたのだが、この会見の中で彼は、なるほど、と思わせることを口にした。
「CLは目標には違いないが、一番重要なのは国内タイトルです。まずは、リーグ優勝の回数で国内ナンバー1になること。現在PSGは7冠、サンテティエンヌが最多で10冠です。まずはここを目指して進めば、極端に意識を向けることなくても、CL優勝は、おのずと達成できます」
レアル・マドリーに敗れてラウンド16で敗退したあと、エメリ監督が即刻解任になるのではないかという噂も飛んだ。彼自身は、自分には国内リーグ優勝という任務がまだ残っていると信じ、辞任などは一切考えなかったというが、おそらく彼は、PSGの実力が本物になるにはまだもう少しかかると感じているのだろう。
今回で7回目とはいえ、カタール体制になってから19年ぶりの優勝で、その後は終盤まで競ったシーズンもあるにはあったが、今季なども完全な一頭レース状態だった。エメリ監督がいわんとしていたのは、たとえ一頭レースであっても、国内で完全無敵の強さを手にした頃、チームだけでなくクラブ全体としてビッグイヤーを狙える真の実力が備わっている、ということなのだろう。