「このチームはさらにレベルアップできる」(ジェイ)
「基本的には、誰が出てもチームとしてやるべきことは変わらないです」
福森晃斗は振り返っている。この日の札幌にはジェイ、都倉という2人のターゲットが前線にいた。彼らをシンプルに使うことはあったが、雨が降る味の素スタジアムでもスタイルは崩していない
苦し紛れのロングボールは少なく、パスを呼び込むジェイの動きに味方は合わせている。また、攻守の切り替えから素早く両サイドに展開し、駒井善成や菅がクロスを供給した。
「首都・東京で、2位と3位の対戦で、守備的な戦術を採るというのは私のスタイルではない。だからこそ、怪我明けのジェイをトップに起用し、チャナ(チャナティップ)と都倉の2シャドーという攻撃的な布陣で臨んだ。両チームとも非常にいいゲームをした。ハードワークし、テンポの速い、球際の激しい試合。0-0だったが、非常に見応えのあるゲームになった」
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督はこのように述べている。好調を維持する札幌は、敵地であっても当然のように勝ち点3を狙った。指揮官の求めることがチームに浸透しているからこそ、この日のような戦いができたのだろう。
現在3位という事実が示すように、札幌は質の高い試合を続けている。そこにジェイが復帰したことはチームにとってポジティブな要素だ。空中戦の強さや抜群の決定力を誇る元イングランド代表ストライカーだが、地上戦におけるクオリティも折り紙つき。周囲の選手との距離感がさらに良くなれば、彼の能力ももっと活きるはずだ。
「自分のコンディションは少しずつ上がっていくし、このチームはさらにレベルアップできると思う。これからも楽しみにしている」
今年36歳を迎えたが、その能力はJリーグにおいて間違いなく規格外。柔と剛を兼ね備えた点取り屋は、札幌をさらなる高みへと導くだろう。
(取材・文:青木務)
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