「つぎはぎ」のドルトムント、4位でCL出場権確保
笑顔はなかった。5月12日に行われたブンデスリーガ第34節。敵地でTSGホッフェンハイムと戦ったボルシア・ドルトムント。試合後にユリアン・バイグルは「この試合は今シーズン全体を反映したもの」と振り返った。
今シーズン最後の試合で、ペーター・シュテーガー監督は3バックを採用。SBが本職のマルセル・シュメルツァー、ウカシュ・ピシュチェクが、CBマヌエル・アカンジの左右に並んだ。全体的には[5-2-3]とでも呼ぶべき布陣。ラファエル・ゲレイロとクリスティアン・プリシッチが左右のウイングバック、バイグルとヌリ・シャヒンのダブルボランチ。そして3トップは左にロイス、真ん中は少し下がり気味のシュールレ、そして右にサンチョだ。
ソクラティスとエメル・トプラクという2人の主力CBを欠いたことで、急造の布陣がこしらえられたが、なかなか機能することはなかった。18分や33分の場面のように、守備がうまくくハマってカウンター、ショートカウンターを仕掛けた場面もあったが、ゲレイロもシュールレも、相手GKとの1対1の局面を迎えながらシュートを決め切れず。攻撃では58分にゲレイロとのコンビネーションで左サイドを崩し、ロイスが1点を奪うのがやっとだった。
守備ではこらえ切れずに3失点。27分にGKロマン・ビュルキのミスキックをアンドレイ・クラマリッチに拾われてそのまま決められ、後半に入ると63分、73分と立て続けに失点。つぎはぎの布陣で、なんとか1-3のスコアで終えた。
今シーズンの最終順位は4位。3位に浮上したホッフェンハイムとは勝ち点「55」で並んだが、得失点差で追い抜かれた。
一方で5位のレバークーゼンにも「55」で並ばれたが、やはり得失点差の関係で、ドルトムントはかろうじて来季チャンピオンズリーグ出場圏内で終えることができた。
だが目標としてきたCLの出場権を獲得できたにもかかわらず、バイグルは「僕らは確実にハッピーじゃない」と言う。「自分たちが実際にプレーしたい類のサッカーをすることをできなかった」から、というのが主な理由だそうだ。
バイグルが指摘するように、怪我人がいたとは言え、ホッフェンハイム戦のドルトムントのサッカーは場当たり的で、その背景にあるべきそもそものコンセプトを見出すことは難しかった。かつてユルゲン・クロップ監督の下でブンデスリーガ2連覇を成し遂げた頃にはあった、クラブとしての哲学のようなものが、このホッフェンハイム戦に限らず、今シーズンはどこか揺らいでいた。