神戸移籍は現実的化。決断は6月上旬?
今回の重慶力帆への移籍の話が流れたのは、当初、話をつけた金額条件をイニエスタがバルサ退団の正式発表をするやいなや、中国側が下げられたことも一つの理由だと、一部では言われている。また、中国側とは、書面をかわしていなかったため、それを知ったヴィッセル神戸が交渉を開始した、と地元では伝えられている。
中国や日本に来れば、バルサでの年俸の2倍あるいは3倍が支払われるとはいえ、いまさら経済条件が問題ではないだろうと見られている。それよりも、家族とともに暮らせて、安心して子育てができる場所、そういった点がイニエスタにとっては大切になってくるのかもしれない。
経済的に今のヴィッセル神戸のオファーを超えるクラブは世界中を探してもない、という消去法でいけば、ヴィッセル神戸への移籍の線が濃厚になる。また、ヴィッセル神戸のオーナーであり楽天のCEOでもある三木谷浩史氏は、イニエスタの同僚ジェラール・ピケとの個人的な友情を経て、FCバルセロナの胸スポンサーになったという経緯がある。そのため今回の交渉についても、三木谷氏個人が進めていると見られており、中国側に裏切られたと感じているイニエスタサイドからみれば、信用がおける相手というメリットはあるかもしれない。
だが、経済条件にこだわらないとすれば、英語で話が通じて、現在バルサのフロント入りしているギジェルモ・アモール氏が監督を務めた経験のあるオーストラリアリーグも、決して悪い選択肢ではない。
誰もがイニエスタの移籍先から目が離せずにいるが、イニエスタ自身は最後まで詳細部まで吟味し尽くした上で決断を下すという姿勢を貫くつもりであり、周囲はワールドカップの開幕寸前までやきもきさせられることになるだろう。
(取材・文:山本美智子【スペイン】)
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