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ディマリアが纏う『くせもの感』。メッシをサポート、エース以上の存在感【西部の目】

誰もが認める能力を持ちながら、アンヘル・ディマリアは主役ではない。チームのために身を粉にして働き、エースを引き立てる脇役だ。しかし、ただの脇役ではない。かつて母国の英雄に「アルゼンチンの次代のスーパースター」と言わしめたほどの実力者である。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

天使のくせもの感

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アンヘル・ディマリアは、くせもの感がすごい【写真:Getty Images】

 くせもの感がすごい。レアル・マドリーのCL優勝に貢献しながら追い出されるようにマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したときは「顔がレアル向きじゃないから」などと、かなり酷いことも言われていた。ただ、顔自体はむしろハンサムの部類ではなかろうか。顔じゃなくてプレーの雰囲気かもしれない。こう言っては大変失礼だが、ねずみ小僧とか忍者とか、天井裏に潜む姿がやけに似合いそうなのだ。

 異常なぐらい身軽、左足の使い方がヘン(踏みだしと足首の角度が逆とかしょっちゅう)、何となく猫背、わけのわからないトリックプレーなど、アニメのヒーローにたとえるとスーパーマンではなくスパイダーマン的なのだ。

 アンヘル・ディマリアはアルゼンチンのロサリオ出身。幼少時はあまりにも活発すぎて親は多動性障害を疑ったという。医者の薦めで3歳にしてサッカーを始めた。元気が余っているならスポーツでもさせなさいということだろうか。4歳で地元のトリントから名門ロサリオ・セントラルへ“移籍”したときは、ロサリオから見返りとしてボールが贈られたそうだ。

 17歳でプロデビュー。最初はサイドバックだったが対人に弱く、コーチから「他の仕事を探したほうがいい」とまで言われた。しかしウイングにコンバートされて持ち前のテクニックとスピードが生きた。2007年のU-20ワールドカップで活躍し、ボカ・ジュニアーズとアーセナルが興味を持ったが、ディマリアはポルトガルのベンフィカへ移籍する。

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