3バック採用ならチャンスも?
よほど会心の策だったからか。試合後の公式会見で永井を絶賛した西野監督は、サンフレッチェ対策のはずだった「3‐4‐2‐1」と「左ウイングバック・永井」を、その後の戦いでも継続。不慣れなポジションで勝利に直結するゴールも決めている永井は、後にこんな言葉を残している。
「最初は余力がなかったけど、徐々に体も慣れてきたのか、攻め上がってシュートにまでもち込んだときでもパワーが残っている。サンフレッチェ戦であんなに綺麗にはまるとは、監督も思っていなかったんじゃないですかね。もちろんしんどいですけど、いまでは僕自身、守備をしながら攻撃へ出ていくところの感触もいいし、周りもよく見えるようになった」
来たるロシアワールドカップで西野監督が3バックを採用するのでは、と一部スポーツ紙で報じられた。長谷部誠がアイントラハト・フランクフルトで3バックの中央を務め、ニコ・コヴァチ監督から高い評価を得ていることを踏まえれば、長谷部を1列下げる布陣は決して奇策ではないだろう。
ましてや、コロンビアにはハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)とラダメル・ファルカオ(ASモナコ)、セネガルにはサディオ・マネ(リバプール)、ポーランドにはロベルト・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)と、前線では世界レベルのアタッカーが脅威をむき出しにしてくる。
センターバックの顔触れが誰になるにせよ、4バックでは圧力に抗い切れず、最終ラインが決壊するおそれもある。その意味でも3バック採用は理にかなうが、一方で日本の前線が1トップではプレスをかけようにもかけられず、防戦一方の展開を招きかねない。
先発として2トップを組み、前線からプレスをかける一人として。相手に疲れが出る後半の勝負どころでピッチに入り、カウンターを仕掛けるジョーカーとして。そして、試合を締めるためのプレス要員として。1ゴールに終わった昨季から一転、すでに4ゴールをあげるなど、長谷川監督のもとでFWとして輝きを取り戻した永井は、いずれの役割も務められる可能性を秘めている。