残り2試合。クラブの未来をかけた挑戦に
とはいえ、いつまでもショックを引きずっているわけにはいかない。冒頭でも触れたように、5位チェルシーとの差はわずか2ポイントだ。スパーズはホーム開催の残り2試合に勝利を収め、是が非でもCL出場権を確保しなければならない。対戦相手はニューカッスル・ユナイテッドとレスター。降格の恐れはなく、ヨーロッパのカップ戦にもほど遠い。
一方、チェルシーは残留争いの渦中にあるハダースフィールドをホームに迎えた後、最終節はニューカッスルとのアウェイゲームだ。しかも、同じニューカッスルでも対スパーズ戦とは立ち位置が異なる。
2018年は本拠地セントジェームズ・パークで4勝2分1敗。4勝のなかにはユナイテッド戦、アーセナル戦も含まれている。直近5シーズンは1勝1分3敗とチェルシーを圧倒しており、ホームでシーズン最終戦というモチベーションまで組み込まれた。どうやら、アドバンテージはまだスパーズにある。
しかし、勝負は水物だ。スパーズがCL出場権を失う恐れは否定できず、仮にトップ4から漏れたとき、現チームの維持は難しい。以前から待遇改善を求めていたアルデルバイレルトとダニー・ローズは退団必至だ。今季限りで契約が切れるエリック・ラメラ、ヤン・フェルトンゲンが残留する保証もない。実力の割に週給が抑えられている(7万5000ポンド=約1125万円)クリスティアン・エリクセンも、好条件のオファーが届くと気持ちはぐらつくだろう。
彼らを慰留できる条件はCL出場権の獲得だ。このタイトルに挑戦する資格を失い、莫大なテレビ放映権料を手にできなかった場合は資金面で大きな損失を被る。主力の流失は避けられないだろう。したがって、残り2試合は死活問題だ。スパーズは、負の歴史を繰り返してはならない。
(文:粕谷秀樹)
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