「素直に楽しめた」。慣れ親しんだ日立台
「交代で出た長崎戦、俺の考えているコンセプト、チームがやらなきゃいけないことができなくて。言葉は悪いけど、自分勝手なプレーが多かった。(柏戦の前の)木曜日、金曜日とやっていく中で我々のコンセプト通りに動けていなかった。当初は他の選手をメンバーに入れようとしていたんだけど、荒木を連れてきた。『ラストチャンスだぞ』『禊だぞ』と言って送り出した」
長崎戦での荒木は前向きなプレーが少なく、ミスもあった。持ち味を発揮するどころか、求められることもできていなかった。それもあって指揮官は、続くセレッソ大阪戦、横浜F・マリノス戦で荒木をベンチ外にしている。
柏戦も帯同できなかった可能性がある中、ギリギリで滑り込んだ。そして、名波監督から「ラストチャンス」と発破をかけられた。ギラついていた荒木の目は、さらに鋭くなった。ただし、冷静さも失っていない。
「外から見ていても相当キツそうな試合内容だったので、出たらとにかく助けになろうって。自分のプレーよりもまずは守備とか、パスコースに顔を出すとか、味方の助けになろうと意識してやったので、うまく試合には入れたかなと」
空回りに終わった長崎戦を経て、荒木は慣れ親しんだ日立台(三協フロンテア柏スタジアム)のピッチに立った。「懐かしいなと思いながらやっていた。例えば航輔とか一緒にやってきた選手がいて、素直に楽しめた」と言うように、活き活きと気負うことなくプレーした。
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