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Jリーグ 7年前

荒木大吾、名波ジュビロで覚醒へ。忸怩たる思い乗り越え・・・古巣・日立台で果たした恩返し

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

大怪我を乗り越えて、今がある

 この言葉を聞いたのは昨年5月、ヤマハスタジアムで柏レイソルに0-2と敗れた数日後のことだ。中村航輔が好セーブを連発し、身長155cmの中川寛斗がヘディングシュートを決めた試合である。彼らの1歳上の荒木にとって、アカデミー時代から仲の良かった面々だ。さらに、柏の下平隆宏監督にはユース時代に指導を受けている。

 昔馴染みと挨拶を交わした後、荒木の胸には複雑な思いがこみ上げてきた。かつての仲間がJ1の舞台で活躍する一方、自身は突き抜けることができずにいたからだ。磐田での出場機会は少しずつ増えてはいた。名波監督が打ち出すチームスタイルの中で、持ち味を活かす方法も掴みつつあった。

「セレッソ戦は『俺、点取れるわ』って思っていたんですよ。最初2回くらい仕掛けて、相手のサイドバックもズルズル下がっていたし。でも、そう思っていた矢先に怪我をした」

 やりきれない思いに苛まれながらも、現実を受け入れるのは案外早かった。

「もちろん悔しかったけど、シーズン中の復帰は無理だとすぐに悟った。骨が折れているのもわかったし。だから、割とすぐに気持ちを切り替えられたところはあるんですよ」

 同じく長期離脱を強いられていた山本康裕、小川航基の存在に助けられながら、苦しいリハビリに励んだ。そして今季、JリーグYBCルヴァンカップグループステージ第1節・清水エスパルス戦で実戦復帰を果たし、同3節・ヴァンフォーレ甲府戦では2つのスーパーゴールを叩き込んだ。ちなみに、当時の甲府を率いていたのは、柏アカデミー時代に世話になった吉田達磨氏である。

 今季も磐田には大怪我でピッチに立てない選手がおり、総力戦でJ1を戦っている。リーグ戦における荒木の立場は途中出場で流れを変える存在だ。しかし、第10節のV・ファーレン長崎戦で評価を下げてしまう。

 柏戦後、名波監督は明かしている。

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