2018年5月2日。横浜で改めて語る代表への思い、そして東京五輪
5分、10分、15分と徐々にプレー時間を延ばし、2月4日の町田ゼルビア戦、同8日のV・ファーレン長崎戦、同11日の湘南ベルマーレ戦と練習試合では3試合連続でゴールを決めながら、常にひざの不安とも戦っていた。
「(試合をするとひざに)リバウンドが出ては離脱を繰り返していたので、いつひざにストレスなくプレーできる日が来るんだろうと思いながらやっていました」
そうやって徐々にステップを踏み、復活へのプロセスを歩んできた小川。プロでは初めてのハットトリックを含む公式戦10試合4得点と勢いを増しつつあった昨年の同時期ほどの状態には戻れていないというが、「徐々に(ひざに)ストレスなくやれつつある」ところまで復調してきている。
磐田でプロ入りする前は「高校No.1ストライカー」として名を馳せ、東京五輪世代のエースとして常に期待を背負ってきた男は、世代を引っ張るトップランナーに返り咲くべく、今は「結果」を欲している。
「まずはトゥーロン国際大会(に出場するU-21日本代表)に選ばれたい気持ちはすごくあります。間違いなく。やっぱり今日(横浜FM戦)だったり、ルヴァンカップだったり、自分が与えられた試合の中で結果を出さないと、呼ばれるものも呼ばれないと思うので、今はとにかく結果を出すことが一番だと思っています」
リハビリに取り組む中でも、同世代の選手たちが活躍するU-21日本代表の試合は、折を見てチェックしていたという。「自分がいない中でFWが点を取ったりしているシーンを見て、こみ上げる思いはあった」と小川は言う。その胸に秘めた闘志は静かに燃え続けていた。
あの悪夢から、完全復活の日は近い。今月末にフランスで開幕するトゥーロン国際大会や、8月末からインドネシアで開催されるアジア競技大会など、このまま調子を上げていけば森保一監督率いるU-21日本代表から小川に声がかかる可能性は高いだろう。そこで「結果」を残すには、クラブでしっかりと本来のパフォーマンスを取り戻せるかが重要になる。
「今年はとにかく怪我をせずに乗り越えられたらと思っています。(目標にする)ゴール数とかは特にないですけど、とにかくいち早くゴールを決めて、怪我なく1年を終えられたら。それが一番の目標ですね」
長期離脱からの復帰後、小川はまだ公式戦でゴールを決められていない。それを取り戻した時が、本当の意味で復活を遂げたと言える瞬間になるはずだ。
(取材・文:舩木渉)
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