“超優良助っ人”の長期離脱
「アイツがいない分、頑張ってチームがいい位置にいられるようにしないと。うん、そうっすね・・・言葉にするのは難しいね」
松浦拓弥は極力、明るい雰囲気を崩さぬよう話した。彼の言う「アイツ」とは、アダイウトンのことだ。ブラジル人アタッカーは明治安田生命J1 リーグ第4節・サンフレッチェ広島戦で負傷。右膝前十字靭帯断裂、半月板損傷、トレーニング復帰まで約6ヶ月と診断された。
アダイウトンはサックスブルーに不可欠な選手だった。パワフルなドリブルと風を切るようなフリーランニングは観るも者をワクワクさせる。カウンターが発動すれば彼の独壇場。堅守速攻を武器に6位と躍進した昨季の磐田にあって、背番号15は常に相手の脅威となってきた。
性格も真面目で、スタメンから外れた時期も自身の立ち位置を理解し、巻き返しに全力を尽くした。そして、再び主力の座につくとチームのために身を粉にして働いた。
“超優良助っ人”とも言うべき男が、今季スタート直後に長期離脱を強いられた。そうした危機的状況で奮起したのが、彼と仲のいい松浦である。
第8節・サガン鳥栖戦で今季2度目のスタメン出場を果たすと、その試合で決勝ゴールを奪う活躍を見せる。翌節のベガルタ仙台戦でも貴重な先制点を挙げ、3-0の勝利を呼び込んだ。さらに前節・横浜F・マリノス戦でも難しいシュートを決めるなど、コンスタントに結果を残している。ゴール数はすでに『3』と、昨季のそれに並んだ。
そして、こどもの日に行われた柏レイソル戦。松浦は自身がネットを揺らすことはなかったが、逆転勝利への道筋を作っている。