「コミュニケーションの問題は正直…」
解任発表翌日の4月10日に投稿された文面を見たハリルホジッチ氏が、言葉をかなり捕捉したうえで、27日おん記者会見の席上で「マキノからメッセージをもらった」と紹介した。これにはちょっとだけ苦笑いを浮かべた槙野だったが、常に真正面から向き合い続けてくれた指揮官に対して抱く思いはこれまでも、そしてこれからも変わらない。
「3月のベルギー遠征も、マリ代表もウクライナ代表も非常に強いなかで、1勝もできませんでした。ただ、そのなかで選手がバラバラになることもなかったですし、各ポジションのなかで非常にいい競争ができていたと思っています。
コミュニケーションの問題というのがありましたけど、僕たちとしても正直、そこはわからない部分もありました。毎日2回くらい、本当に事細かなミーティングがあるくらい、選手とスタッフの距離感も非常に近かったですし、話し合いもかなりポジティブな面もありました」
過去をセンチメンタルに振り返っているわけでも、ましてや日本サッカー協会の田嶋幸三会長が下した決断に異を唱えているわけでもない。偽らざる思いを明確な言葉にしてしっかりと発信し、サッカー人生におけるマイルストーンとして刻み込むことで、未来へと進む決意と力に変えていく。
「日本のためにワールドカップをしっかりと戦わなければいけない、ということは変わりません」
時間は待ってくれることなく進んでいく。西野朗新監督に率いられる日本代表でも居場所を築き、槙野自身にとって初めてとなるワールドカップの舞台に立ち、取り組んできた成果を十二分に発揮することが、30歳を超えて成長に導いてくれたハリルホジッチ氏への恩返しとなる。
(取材・文:藤江直人)
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