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日本代表 7年前

槙野智章とハリルの強い絆。厳しさの裏にあった愛、コミュニケーションが引き出した急成長

text by 藤江直人 photo by Getty Images

日本代表でレギュラー獲得。ハリルの指導で成長

槙野智章
2016年のJリーグチャンピオンシップ決勝第2戦で槙野智章は痛恨のPK献上。鹿島に敗れ優勝を逃した【写真:Getty Images】

 1対1における球際の強さを含めて、槙野は日本人選手のなかでもトップクラスに入るフィジカル能力を搭載している。ゆえに南アフリカワールドカップを直前に控えた岡田ジャパンで代表デビューを果たし、大会終了後の2010年8月に発足したザックジャパンでも招集されてきた。

 しかし、時として集中力が途切れるのか。クロスなどに対してボールウォッチャーになる悪癖が顔をのぞかせることもあれば、攻撃参加好きを自負するあまりに、背後に広がるスペースをケアする意識が疎かになる場面も少なくなかった。

 鹿島アントラーズと激突した、2016シーズンのJリーグチャンピオンシップ決勝第2戦では、自身の背後に抜け出されたFW鈴木優磨を追いすぎた末にPKを献上。FW金崎夢生にアントラーズの逆転優勝を許す痛恨の決勝点を奪われた。

 ハリルジャパンでも常に招集メンバーのなかに名前を連ねながら、センターバックおよび左サイドバックの控えに甘んじてきた。特に前者のポジションでは森重真人(FC東京)が招集外となった昨年6月以降、昌子源(アントラーズ)に序列を逆転されている。

 それでも槙野は歯を食いしばりながら指揮官に食らいつく、絶対に下を向かないメンタルの強さが脈打っていた。そして、昨秋以降のレッズおよび日本代表の戦いにおいて、最終ラインを担う選手として絶対に順守しろ、と指揮官に厳命されてきた「3ヶ条」をスムーズに実践できるようになる。

 それは自軍のゴール前で「相手のボールホルダーに前を向かせない」「ボールホルダーを自軍のゴールから遠ざける」「不要なファウルは犯さない」ーーであり、鍛え抜かれた身長182cm体重77kgのボディに搭載されているフィジカル能力が、必然的により高いレベルで発揮されるようになった。

 レッズが日本勢として9年ぶりに頂点に立ったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)。準決勝で対峙した上海上港(中国)戦で、フィジカルモンスターの異名をもつ元ブラジル代表FWフッキと激しいデュエルを展開する槙野の姿を見て、機は熟したと判断したのだろう。

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