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ヴェンゲル退任のアーセナル、新監督は誰だ? 不可欠な「4要素」。愚策マンUを反面教師に【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

今季限りでアーセン・ヴェンゲル監督の退任が決まっているアーセナル。22年間にわたって指揮を執った名伯楽の後任を見つけることは簡単ではない。チャンピオンズリーグ出場権奪還というミッションもある中、北ロンドンの名門はいくつかの「要素」を備えている新指揮官を探し出さねばならない。(文:粕谷秀樹)

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

マンUを反面教師に。アーセナルの新監督探し始まる

アーセン・ヴェンゲル
アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督退任が決定。後任探しが始まった【写真:Getty Images】

 アーセン・ヴェンゲル監督が今季限りで退任する。

 晩節をやや汚したとはいえ、アーセナルを一流に仕立てた技量はフットボールの歴史に刻まれるに違いない。ティエリ・アンリ(現ベルギー代表コーチ)、パトリック・ヴィエラ(現ニューヨーク・シティFC監督)、ロビン・ファン・ペルシ(現フェイエノールト)、セスク・ファブレガス(現チェルシー)など、ヴェンゲルの慧眼によって才能が花開き、スターの座に駆け上がっていった者も少なくはない。いつまで経っても非常識な言動が目立つサミア・ナスリ(無所属)ですら、「ただひとり、俺を信じつづけてくれた」と、珍しく殊勝な面持ちで感謝の意を述べていた。

 しかし、感傷に浸っている時間は限られている。アーセナル上層部は新監督の人選を慎重、かつ迅速に進めなければならない。4年前、マンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソン退任後に恥ずかしすぎる間違いを犯した。無能無策のデイビッド・モイーズ(現ウェストハム監督)を選択するなど、太陽が西から登ったとしてもありえない愚策ではないか!

 その後ユナイテッドがプレミアリーグのタイトルから遠ざかっているのは、ファーガソンが26年もかけて造った勝者の哲学を、モイーズがわずか7ヶ月で木っ端微塵にぶち壊したからだ。アーセナルは仇敵を反面教師として、ヴェンゲル退任後のビジョンを描かなければならない。

 では、どのようなチームにすべきだろうか。基本的なゲームプランはポゼッション。メスト・エジル、ピエール=エメリク・オーバメヤン、アレクサンドル・ラカゼットなど、来季以降も主力となる選手たちの適性を踏まえても、カウンター型ではない。したがって、一部で噂されているルイス・エンリケは適任とも考えられる。選手、監督としてバルセロナで培った経験は、大いに役立つはずだ。

 しかし、彼はバルサを率いていた当時と同等の年俸1650万ポンド(約24億7500万円)を求めているという。ヴェンゲルですら830万ポンド(約12億4500万円)だった。L・エンリケが大幅に譲歩しないかぎり、アーセナルの監督には就任できない。

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