マンUを反面教師に。アーセナルの新監督探し始まる
アーセン・ヴェンゲル監督が今季限りで退任する。
晩節をやや汚したとはいえ、アーセナルを一流に仕立てた技量はフットボールの歴史に刻まれるに違いない。ティエリ・アンリ(現ベルギー代表コーチ)、パトリック・ヴィエラ(現ニューヨーク・シティFC監督)、ロビン・ファン・ペルシ(現フェイエノールト)、セスク・ファブレガス(現チェルシー)など、ヴェンゲルの慧眼によって才能が花開き、スターの座に駆け上がっていった者も少なくはない。いつまで経っても非常識な言動が目立つサミア・ナスリ(無所属)ですら、「ただひとり、俺を信じつづけてくれた」と、珍しく殊勝な面持ちで感謝の意を述べていた。
しかし、感傷に浸っている時間は限られている。アーセナル上層部は新監督の人選を慎重、かつ迅速に進めなければならない。4年前、マンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソン退任後に恥ずかしすぎる間違いを犯した。無能無策のデイビッド・モイーズ(現ウェストハム監督)を選択するなど、太陽が西から登ったとしてもありえない愚策ではないか!
その後ユナイテッドがプレミアリーグのタイトルから遠ざかっているのは、ファーガソンが26年もかけて造った勝者の哲学を、モイーズがわずか7ヶ月で木っ端微塵にぶち壊したからだ。アーセナルは仇敵を反面教師として、ヴェンゲル退任後のビジョンを描かなければならない。
では、どのようなチームにすべきだろうか。基本的なゲームプランはポゼッション。メスト・エジル、ピエール=エメリク・オーバメヤン、アレクサンドル・ラカゼットなど、来季以降も主力となる選手たちの適性を踏まえても、カウンター型ではない。したがって、一部で噂されているルイス・エンリケは適任とも考えられる。選手、監督としてバルセロナで培った経験は、大いに役立つはずだ。
しかし、彼はバルサを率いていた当時と同等の年俸1650万ポンド(約24億7500万円)を求めているという。ヴェンゲルですら830万ポンド(約12億4500万円)だった。L・エンリケが大幅に譲歩しないかぎり、アーセナルの監督には就任できない。