フィテッセのMFフォールからイエローカードを提示されるカンフュイス主審(左奥)【写真:Getty Images】
現地時間29日に行われたオランダ・エールディビジ(1部)第33節、フィテッセ対トゥエンテの試合中に前代未聞の珍事件が起きた。
フィテッセが2-0でリードして迎えた後半の60分、センターサークル付近でフィテッセのMFナファロネ・フォールとトゥエンテのMFアダム・マヘルが交錯してピッチに倒れ込んだ。しかし、“イエローカード”が提示されたのは主審のヨヘム・カンフュイスに対してだった。
何を言っているかわからないかもしれないが、事実なのである。このプレーはマヘルがフォールにタックルしたことから始まった。なんとその直後、フォールのすぐ横でカンフュイス主審が突如ピッチに転がった。
実はタックルを食らったフォールはカンフュイス主審とも衝突していたのだが、その主審はまるで足をかけられたような様子でピッチに倒れた。立ち上がった2人はすぐに握手を交わして少し会話すると、フォールがカンフュイス主審の右胸ポケットに手を伸ばし、“シミュレーション”に対してイエローカードを提示した。
これには主審も苦笑いするしかなく、ピッチ上は和やかな空気に。イエローカードはもちろん公式記録に残っておらず、機転を利かせたフォールのジョークだった。ほんの少し足が触れただけで大げさに倒れたカンフュイス主審も文句は言えなかったようだ。
過去に前例のない珍事件には各国メディアから関心が寄せられている。ベルギーメディア『ヘット・ニーウスブラット』は「エールディビジのコメディ:審判が明らかなダイブの後、選手から『正しい』イエローカードを出される」と見出しをつけた。
また、イエローカードを提示した張本人のフォールは、地元の放送局『オムロープ・ヘルダーラント』に対し「正しいイエローカードだったね(笑)。彼はダイブしたと思った。面白くはないし、ひどいこと。すごく痛がっていたけど、ああいうジョークは5-0の試合だったから可能だった」とコメントしている。
主審のシミュレーションが起こった時はまだ2-0だったが、フィテッセは最終的に5-0でトゥエンテを下している。フォールの行動はそれだけ余裕のある展開だったからこそかもしれない。
なお、勝利したフィテッセはリーグ戦1試合を残して7位以上が確定し、4位から7位の4クラブで争われるヨーロッパリーグ出場権をかけたプレーオフ進出が決まった。一方、敗れたトゥエンテは残り1試合のタイミングで17位スパルタ・ロッテルダムとの勝ち点差が4ポイントとなり、最下位で34年ぶりの2部リーグ降格が確定した。
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