「結果を出せば、みなさんもコロっと変わるから…」
どちらも逆転負けとなったが、アーセナル戦、さらに14日のチェルシー戦でも、強豪との対戦ながら可能性を感じさせる内容だった。チェルシー戦後、「守備にしても攻撃にしても前節よりよかったと思うし、特に守備のオーガナイズはかなり良くなったと思いますけど、あと一歩というところですね」と吉田は振り返っている。
プレミアリーグの残留争いに加えて、日本代表ではワールドカップ直前の監督交代。現在の吉田麻也が置かれた状況は、彼のキャリアの中でもとても厳しいものである。だからこそ、吉田はブレない。
「代表の監督が代わったことに関しては、正直、今、僕がジタバタしても何もできることはないので、大事なことはここで(プレミアリーグに)残留して、試合にコンスタントに出てパフォーマンスを上げて、良いコンディションで代表合宿に入ることができるようにする。代表のことはその後で考えます」
さらに先日のFAカップ準決勝で、再びチェルシーに負けた直後にも「(監督がもっと早く交代していたらとか)『たられば』言っても仕方ない」と話して、次のように続けた。
「決めるのはあくまでクラブであったり、それこそ(代表監督の場合は)協会が決めることなので、いち選手がどうこう言うことではない」
クラブでも代表でも、監督交代劇が吉と出るか凶と出るかは、神のみぞ知るところ。もちろん、間近でそれを見ている吉田の頭の中では、様々なことが錯綜しているはずだが、本人は「結果がすべて」と断言する。
「結果を出せば、みなさん(=記者)もコロっと変わるから(苦笑)。結果を出せるように頑張ります」
サウサンプトンでも日本代表でも、残された時間は限られている。逆境を乗り越えてくれることに期待するしかない。
(取材・文:松澤浩三【イングランド】)
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