川島所属のメスが迎える最大の正念場
しかしようやく選手たちも危機感を感じたのか、4月14日の第33節、現在5位につける強豪のレンヌ戦では、これまでになかったような気合のこもったプレーで逆転勝ちという価値ある大健闘。第34節のカーン戦もまたまたリードしてからの失点で勝利こそ逃したが、なんとかドローで踏ん張った。
裏面では、奇遇にも酒井宏樹所属のマルセイユが、援護射撃といわんばかりにメスの直接ライバル、トロワ、リールを続けて破ってくれたおかげもあって、あと4戦を残した時点で、同点で並ぶ18、19位との差がようやく勝ち点3に縮まった。
そうして迎える、次の第35節は、19位リールとの直接対決だ。ここで勝ち点3をとれれば、残留の望みは大きくなる。逆に敗れれば、非常に厳しくなるだろう。
レンヌ戦のあと、川島はこう抱負を語っていた。
「自分たちに後はないし、本当に1試合、1試合、ひとつひとつのプレーですべてが変わる。上4つ(上位4チーム)とやれば差が明らかという部分は出てしまうが、それ以降のチームとは、監督が変わってからは、自分たちもやれる、という自信の中でプレーできているし、それは大きい」
実際、今季のメスのメンバーは決して悪くない。
今季入団したストライカーのノラン・ルーは、序盤こそ当たりがなかったが、冬ごろから決まりだすと、現在14得点でリーグの得点ランク9位、そして右サイドのMFマテュー・ドセヴィは10アシストでランキング3位とこれまたトップクラスにつけている。他にもチームに活気を与えるMFフロラン・モレ、頼れるベテランMFルノー・コアドら、力のある選手が要所を押さえている。
4月28日の第35節、リール戦は、メスにとって今シーズン最大の正念場だ。川島永嗣の気迫のこもったプレーにも期待したい。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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