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「完璧なDF」が持つ、“ネジがぶっ飛んだ”別の顔。 英雄セルヒオ・ラモス、一瞬に命がけの闘争心【西部の目】

レアル・マドリー、スペイン代表で数々のタイトルを獲得したセルヒオ・ラモスは世界最高のDFだ。一方で、荒々しいプレーはしばしば警告の対象となる。退場を宣告されることも多いが、何をも恐れないその闘いぶりは彼のストロングポイントでもある。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

スペインのマルディーニ

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「完璧なDF」セルヒオ・ラモスの別の顔とは【写真:Getty Images】

「パオロ・マルディーニがもしスペイン人だったら、FWかMFでプレーしていただろう」

 イタリア人はよくそう言っていた。長身で均整のとれた体格、スピード、パワー、巧緻性のいずれも優れ、インテリジェンスがあってテクニックもいい。そんな才能の塊のような選手がイタリアではDFとしてプレーする。最も優れた才能を守備に使うのがイタリアの文化であり、スペインなら疑いなく攻撃に使うはずだという話である。

 ところが、セルヒオ・ラモスはDFになった。

 センターバックとサイドバックのどちらもできるのはマルディーニと似ている。パワーと体格が必要なセンター、先天的な能力であるスピードが要求されるサイド、どちらも難なくこなせるところに彼らの逸材ぶりが表れている。

「完璧なDFだ」

 ACミランではマルディーニのチームメートで監督でもあったカルロ・アンチェロッティはレアル・マドリーでラモスに出会い、マルディーニそっくりだと言っている。どちらも偉大なキャプテンで、勝者のメンタリティを持つ。ただ、大きな相違点が1つだけある。ラモスはリーガ・エスパニョーラの最多退場記録保持者なのだ。

【次ページ】退場王という側面
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