ボールを持ったら止まらない。ドリブル・キープ時の最高速度を記録したのは?
一人でボールを運べる選手は貴重だ。どのチームも陣形をコンパクトに保とうとし、時間もスペースも限られる現代サッカーにおいても、それは変わらない。攻守の切り替えが頻繁に起こる中、独力での突破、あるいはキープできればチームの攻撃のアクセントとなる。
2017シーズンの明治安田生命J1リーグにおける、ドリブルまたはキープ時の最高速度ランキングが上の表だ。アルビレックス新潟のホニ、ジュビロ磐田のアダイウトン、横浜F・マリノスの山中亮輔は、それぞれ2回ずつランクインしている。いずれのクラブも当時は堅守速攻が武器の一つとなっていた。対峙する相手に怯まず加速し、スピードや馬力を活かしてのキープなど、彼らの長所はチームの拠り所になっていた。
並み居る“スピードスター”を抑えてトップに立ったのは、時速35.4kmを記録したクリスティアーノ(柏レイソル)だ。下部組織出身者が多く、イメージが共有されたボールワークを見せる柏にあって、前線に君臨するブラジル人ストライカーはある種、異質な存在だ。だが、技術とパワー、加速力を備えるクリスティアーノによって、柏はより破壊力のあるチームに昇華するとも言える。
このランキングを見ると、多くのブラジル人アタッカーが名を連ねている。彼らが持ち前のスピードを活かすことが、相手の守備を崩す上でのひとつのセオリーとなっているのかもしれない。
守備でも力を発揮する永井謙佑のスピード
次に、タックル時の最高速度ランキングを見てみよう。様々なポジションの選手がトップ10に名を連ねているが、サイドを主戦場とする選手が多い。タッチライン際を走ることだけが仕事ではないが、激しいアップダウンが求められるのも事実。彼らは、その高いスプリント能力でチームに貢献していると言えるだろう。
そして、上位2名は永井謙佑、アンデルソン・ロペスとなった。いずれもアタッカーで、共に最高速度35km/hを越えた。J最高レベルのスピードを持つ永井は労を惜しまない選手でもあり、守備面でも力を発揮する。
永井はタックルの前5秒間の走行距離が40.05m。これは松田陸の40.6mに次ぐ数字だ。長い距離を走ってボールに食らいついたことがデータに表れている。どのようなシチュエーションにしろ、ボールにチャレンジする姿勢はチームにとって大きな助けとなる。
今回のデータは2017年のものだ。今季リーグ戦はすでに開幕しており、ロシアワールドカップのため中断期間が設けられている。現在、選手たちはタイトな日程のなかで戦う。自ずと疲労は蓄積するはずで、力をセーブする賢さも必要だろう。色々な戦い方があって当然だが、物凄いスピードでピッチを駆ける選手たちの奮闘も注目されるべきだ。
(文:SPAIA編集部、監修:データスタジアム)
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