日本代表監督を解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏【写真:Getty Images】
日本代表の前監督であるヴァイッド・ハリルホジッチ氏が21日、来日した。9日に解任が発表されたハリルホジッチ氏は27日には都内で記者会見を行う予定だが、ここでどのような発言が飛び出るのか注目が集まっている。
来日から記者会見までの予定は未定となっているが、日本にある自宅の整理や日本サッカー協会(JFA)と契約上の諸問題を解決するための話し合いが行われるとされている。JFAとしてはハリルホジッチ氏の怒りが爆発し、チーム再建の妨げとなる混乱は避けたい。
ハリルホジッチ氏は今回の解任劇にまったく納得しておらず、話し合いは難航すると見られている。JFAの田嶋幸三会長は解任理由について「選手との信頼関係」を強調していた。人間関係は心象的な問題で、受け取り方が人によって違う。現にハリルホジッチ氏も海外メディアに「選手が不満を抱えていたとは感じなかった」と答えている。
また、田嶋会長は「数%でも勝つ可能性を上げるため」とも語っている。裏を返せば「ハリルホジッチのサッカーでは勝てない」ということだが、この点に関しては平行線をたどるだろう。なぜならワールドカップはまだ開催されておらず、検証しようもないからだ。不確実な理由をあげられたところで、ハリルホジッチ氏を納得させるのは難しい。
田嶋会長と西野朗新監督(前技術委員長)は報道陣を通してハリルホジッチ氏と会う予定にないことを明かしている。2人以外の協会関係者あるいは弁護士が対応することになるだろう。
JFAには来日時も含めると記者会見まで6日間の猶予がある。短い期間でハリルホジッチ氏を納得させ、批判的なトーンを抑えるという高難度の交渉をしなければならない。難しい場合、最終手段として多額の違約金を支払う方法が残されている。
もちろんハリルホジッチ氏が多額の違約金を受け取ること、それを交渉の材料とすることは何ら悪いことではない。プロとして当然のことで、また「ワールドカップ直前に解任された」という不名誉な印象が残り、今後のキャリアにも影響を及ぼす恐れもあるからだ。
問題は、JFAにハリルホジッチ氏が納得する金額を払えるのかどうか、また払えるとしてもそれを次期監督招聘の際に使うべきではないかという疑問は残る。
そもそも、ハリルホジッチ氏は契約解除に合意していない。明らかになっていないような大きな問題があったとしても、それは最初に解任を告げたときに伝えているはずだ。手詰まり感のあるJFA。このままでは爆弾発言は避けられない。状況を反転させる材料がなかった場合、ハリルホジッチ氏はすべてを明らかにするだろう。
果たして、この6日間で解任騒動はどのような方向に転がるのか。さらなる混乱を招くのか、それとも……。
(文:植田路生)
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