ショートパスはあくまで手段のひとつ
「今年はかなりサッカーが変わったけど、去年までの特徴であるクロスからのゴールというのは今年も継続してやれている。ミシャさんのサッカーに加えて、去年の四方田(修平=現ヘッドコーチ)さんのサッカーも合わさって、かなりいいチームになっているんじゃないかなと」
19歳の菅大輝は、これまでの札幌らしさと現在のサッカーが融合していると述べた。
「自分たちが約束事やイメージを共有しながらプレーして、それが合った時というのは本当にチャンスになっている。その回数をこれから増やしていけばゴールももっと生まれると思うし、試合ももっと支配できるんじゃないかと思っている。ミシャさんのサッカーをやりつつ、去年までやってきたことも忘れずにやっていければいいかなと思います」
さらに、進藤は今季のサッカーに関して「ボールを繋ぐというのは目的ではないので」と、きっぱりと言い切っている。
「ゴールを奪うとなった時に前線の高さとか、サイドの突破力やシンプルなクロスもチャンスになってくると思う。融合という意味では、チャンスになる確率が高いプレーをしていくことが重要ですし、それを監督は求めている。ボールを大事にしながらも、それは手段でしかないということを忘れずに。目的はゴールを奪うことだというのを大事にしてやっていきたいです」
また、前節の柏レイソル戦で逆転ゴールを決めた都倉賢は「ミシャのサッカーになってテクニカルな部分が注目されがちですが、球際の強さだったり、セカンドボールを拾うことなどは最低限やらなきゃいけない部分」と、その試合の後に述べていた。
ペトロヴィッチ監督体制になって、流麗なサッカーもどんどん身についていくだろう。だが、札幌が培ってきた良さを捨て去る必要もない。堅い守りや粘り強さ、前線の高さを活かした攻撃は今季もよく見られる。
ビルドアップに詰まった時、前線のターゲットマンをシンプルに使うことで相手のプレスを回避するだけでなく、そのままチャンスに繋げることができる。ショートパスはあくまで手段のひとつであることが、全員に共有されているのだ。
今後さらに錬度を高めていくであろう“ミシャ式”と既存のスタイルが完全に合わさった時、北海道コンサドーレ札幌はどのようなチームになっているだろうか。
リーグに旋風を巻き起こす力を秘めているのは間違いない。
(取材・文:青木務)
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