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ヴェンゲル王朝の終焉。プレミアの新時代を切り開いた先駆者、在位22年の偉大な功績

text by 舩木渉 photo by Getty Images

無敗優勝も実現。ペップも憧れた偉大な指導者のアーセナル愛

アーセン・ヴェンゲル
アーセン・ヴェンゲルは来季から新たな道に進む。それでもアーセナルへの愛は永遠だ【写真:Getty Images】

 ヴェンゲルが何度挑戦しても獲得できなかったのがチャンピオンズリーグのトロフィーだった。とはいえ2003/04シーズンのプレミアリーグ無敗優勝、26勝12分0敗がいかに傑出したものか。例えば今季、圧倒的な強さでリーグ優勝を決めたマンチェスター・シティでさえ2敗している。

 そのシティを率いるペップ・グアルディオラ監督は以前、英『スカイ・スポーツ』のインタビューの中で「私はプレミアリーグでプレーするのが夢で、『できればあなたのチームでプレイしたい。そうすればあなたを助けることができると思いますよ』とヴェンゲル監督に伝えた。少し傲慢だとは思ったが、彼には『チームに空きがない』と言われた」とアーセナルへの移籍希望があったことを明かしていた。

 バルセロナで一時代を築き、指導者としてスペイン、ドイツ、イングランドの3ヶ国でリーグ制覇を成し遂げたグアルディオラですら、最大限のリスペクトを示す相手こそがヴェンゲル監督なのである。

 20日にヴェンゲル監督のアーセナル退団が発表された後、グアルディオラ監督は週末の試合に向けた記者会見で「彼には巨大なパーソナリティがある。プレミアリーグがプレミアリーグであるのは、彼が成し遂げてきたことと彼のビジョンがあったからだ。彼の将来の全てが素晴らしいものになることを祈っている。できれば今後も世界のフットボールに別の形で関わって欲しい。私はバルサで、バイエルンで、そしてシティで、彼と戦えたことを光栄に思う」と、これまでの功績を称賛した。

 何事にも終わりがある。ヴェンゲルが築き上げた王朝と、プレミアリーグの一時代が終わろうとしている。それが今だ。今季は最後にヨーロッパリーグを獲得するチャンスがあるものの、彼はクラブの公式サイトに自ら別れの言葉を記した。最後にそれを紹介する。

「慎重に考え、クラブと話し合い、今季末が辞任にふさわしい時だと感じた。長い時間、監督としてアーセナルのために働けたことを光栄に思い、感謝している。22年間、全身全霊で誠実にクラブを率いてきた。スタッフ、選手、役員、そしてアーセナルをクラブ以上の存在にしてくれたファンの皆さんに感謝したい。アーセナルを愛する皆さんは、これからもクラブが少しでも良い成績を残せるよう後押しして欲しい。そしてクラブの価値を大切にして欲しい。私の愛とサポートは永遠だ」

 メルシー、アーセン。

(文:舩木渉)

【了】

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