熾烈なポジション争い。原口はロシア行きを叶えられるか
マリとウクライナとの2連戦を受け、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は4月に入ってからヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任を決断。ワールドカップ本番の2ヶ月前というタイミングで西野朗新監督の就任が正式決定した。
ハリルホジッチ体制で重用されてきた原口が大きな岐路に立たされたのは確か。西野監督は日本代表監督就任会見で「ベースとなる選手たちは現状も変わらない」とコメントしたが、左FWのポジションはとにかく競争が厳しい。
3月の2連戦でインパクトを残した中島翔哉(ポルティモネンセ)も好調を維持しているし、デュッセルドルフのチームメート・宇佐美貴史も15日のハイデンハイム戦で今季7ゴール目をマークしている。
3月の遠征には呼ばれなかったが、リーガ・エスパニョーラで継続的に試合出場を重ねる乾貴士(エイバル)も決して悪くない。ハリルホジッチ監督は彼らのような「矢のようにゴールに突き進むタイプ」をサイドアタッカーとして重用したが、西野監督は清武弘嗣(C大阪)のような司令塔タイプ、武藤嘉紀(マインツ)のようなFWと併用できるタイプも視野に入れながらメンバーの絞り込みを進めていくと見られる。
いずれにしても、原口が日本代表で絶対的な存在でなくなったのは認めざるを得ない事実だ。
だからこそ、彼にはゴールという結果が強く求められてくる。そもそも原口が日本代表でレギュラーを掴んだのも、アジア最終予選で4試合連続ゴールという日本新記録を樹立したことが大きい。もともと彼はハリルホジッチ前監督に左右のサイドやトップ下、ボランチ、右サイドバックに至るまで多彩な役割で起用され、「万能性が非常に高い選手」と位置付けられていた。
そこに決定力という日本代表に最も必要だった要素を加えることができたからこそ、チームの大黒柱の1人に躍り出たのだ。その男からゴールという強みを除いたら、頭抜けたセールスポイントがなくなってしまう。もちろんダイナミックな走りや攻守両面への貢献度の高さは誰もが認めるところで、日本がロシアで戦い抜くために必要な要素ではあるが、やはり得点力は不可欠。ゴール欠乏症に悩む日本代表にとって点の取れる人間は喉から手が出るほどほしいのだ。
ドイツ2部は残り4試合。今季わずか1得点の原口には毎試合ゴールを目指してほしい。リーグ終盤に目に見える結果を残し、デュッセルドルフの2部優勝と1部昇格の原動力になること。西野新監督の心を大きく揺り動かすためには、それだけの光り輝くパフォーマンスが強く求められる。
(取材・文:元川悦子)
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