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英2部に異変!? 補強資金50億円…1つのクラブを変えた中国資本と大物代理人。そこに渦巻く闇

text by 舩木渉 photo by Getty Images

敏腕代理人と中国資本が進む先に見えるのは光か闇か…

ウォルバーハンプトン
ジョルジュ・メンデス氏が連れてきたポルトガル人選手たちが昇格に大貢献。彼らはプレミアの舞台でも輝けるか【写真:Getty Images】

 かつて自身が関わった顧客とともに脱税疑惑をかけられたことがあり、本来は禁止されているはずの第三者による選手保有になりかねない「投資ファンドを用いたクラブへの資金融資と選手獲得」をビジネスに活用していたメンデス氏は、規制の網をかいくぐる穴をいくつも用意していたということだろうか。

 ただ、回避できるか微妙なのがUEFA(欧州サッカー連盟)が定める「ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)」である。ここ2年間、選手獲得に費やした支出が選手売却による収入を大きく上回っているウォルバーハンプトンは、近い将来UEFAによる制裁を受ける可能性がある。これを回避するには選手売却による収益か、入場料や放映権料、スポンサーや広告を対象とした収入によって、収支のバランスを黒字にしなければならない。

 プレミアリーグ昇格によって来季に向けて4〜5人の新戦力獲得が見込まれる中、主力選手の売却も進める必要があるかもしれない。2部でも平均2万5000人以上を動員するウォルバーハンプトンとはいえ、オーナーからの資金投下やスポンサー収入や分配される放映権料の収入のみに頼るのは難しい。

 例えばすでにリバプールなどが関心を示しているルベン・ネヴェスを、獲得時よりも大幅な高額で売却するなど収入を確保する選択肢はいくつかある。同選手はもともと市場価格よりも大幅な安値で獲得しているため、次回売却時に生じた移籍金の何割かをウォルバーハンプトン加入前の所属クラブに分配する条項を契約に盛り込んでいる可能性もあるが、大きな収入を得られるのは間違いない。

 様々な壁を乗り越えなければならないとしても、タイ人オーナーのもとで2015/16シーズンに奇跡のプレミアリーグ制覇を成し遂げたレスター・シティのように台風の目となり、ウォルバーハンプトンが“第2のレスター”になれる潜在能力を秘めているのも事実。

 6年ぶりにプレミアリーグの舞台に戻ってくる古豪クラブが進む道は栄光か、あるいは破滅か。中国資本と世界一のスーパーエージェントの力を後ろ盾に突き進むウォルバーハンプトンの今後は、急速に拡大を続ける欧州サッカービジネスの未来を占ううえで重要な意味を持つかもしれない。

(文:舩木渉)

【了】

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