大型補強だけでない躍進の要因。見事な古参と新参の融合
さらに選手補強でも代理人としてのコネクションをフル活用した。17歳の若さでポルトのトップチームでデビューを飾り、18歳で史上最年少キャプテンとしてチャンピオンズリーグの舞台に立ち、ポルトガル代表歴も持つ欧州屈指の有望株ルベン・ネヴェスを、市場価値を大きく下回る1580万ポンド(約24億円)の移籍金(それでもチャンピオンシップ史上最高額だが)でウォルバーハンプトンに引き入れる。
他にもアトレティコ・マドリーで居場所がなかった当時20歳のジオゴ・ジョッタの期限付き移籍をまとめ、イングランド代表歴を持つベテランGKジョン・ラディや、ビジャレアルで活躍していたアルフレッド・エンディアイエなど、欧州トップレベルでの実績を持つ実力者を中心に多くの選手の獲得を実現させた。
もちろん今回のプレミアリーグ昇格はメンデス氏の手腕だけが効果を発揮したわけではない。国内外から集められた選手たちがヌーノ監督の下で輝きを放ったからこその成果である。
ポルトガル人指揮官は3-4-3を基本フォーメーションに、43節終了時点で29勝8分6敗という目覚ましい成績を引き出した。稼ぎ出した勝ち点は95ポイントに達し、シーズン終了時には「勝ち点100」の大台も見えている。
ウォルバーハンプトンは15節以降、一度も首位の座を譲らず昇格まで駆け抜けた。この快進撃を支えたのはメンデス氏が連れてきた選手だけではない。中国資本による買収前から在籍していた選手との融合も鍵になった。
特筆すべき貢献を見せたのは多くの試合でゲームキャプテンを務め、3バックの中央で攻守の柱として奮闘しているコナー・コーディである。2015年にウォルバーハンプトンへとやってきたセンターバックは、3バックを両サイドに大きく広げる特徴的なビルドアップにおいて攻撃の起点として機能したほか、レッドカードによる出場停止の1試合を除くすべての試合に出場して36失点という堅守を支えた。
リバプールのトップチームに定着しきれなかったが、プロデビュー当時はセントラルMFだった経験がセンターバックでの開花につながった。また、ユース時代にはキャプテンも務めていた元イングランドU-20代表DFは天性のリーダー気質で多国籍なチームをまとめ上げた。
アトレティコからのレンタルで加入したジオゴ・ジョッタも41試合に出場して16得点6アシスト、在籍2年目のポルトガル代表FWイバン・カバレイロが42試合の出場で9ゴール12アシストを記録するなど、メンデスの息のかかった自慢の攻撃陣もうまく噛み合った。