プロ1年目の18歳に襲いかかった試練
一方、背走する形でロングボールを処理しようとした西山は「周りが見えていなかった。立ち上がりでしたし、中途半端にやるのがいけないと思いました。ボールウォッチャーになって、(杉本)大地くんの声も聞こえなかったので、自分で処理しようと思ったらぶつかってしまった」と自らの判断を悔やんだ。2人が交錯する瞬間、起こってはいけないはずの重大なコミュニケーションミスが起きていた。
試合を終えて取材エリアに現れた西山は目の周りを真っ赤に腫らし、すでに目の中には涙を溜めていた。話が進むごとに声が震えていき、最後はいまにも涙が目から溢れそうになるほど打ちひしがれていた。
2失点目の場面も、FC東京の左サイドバック・太田宏介が上げたクロスに対し、西山が梶山との駆け引きに負けてしまった。下部組織からの昇格1年目、プロとしての公式戦2試合目の出場だった若者にとっては、あまりにも重く辛い2失点だった。
「(開始直後の失点の後)自分としては割り切ってやろうと思ったんですけど、ちょっと引きずっちゃったかなと思います。その後の失点も僕のところなので、2失点に絡んで、僕がゲームを壊したという意味では悔しいです。ハーフタイムで交代したのも悔しいですし、練習からもっと改善していきたいと思います」
西山は懸命に言葉を絞り出し、取材エリアを後にした。ルヴァン杯のグループステージ第3戦・アルビレックス新潟戦で堂々のデビューを果たし、FC東京戦の前日練習後には「今日の練習とかでも、自分の中で、なんとなくですけど、前よりいっぱいいっぱいじゃなくなった感じがある」と自信を語っていただけに、この経験と教訓は西山の心に忘れられないものとして刻まれるはずだ。
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