電光石火のゴール。DFとGKが交錯し…
目を疑った。その瞬間何が起こったかわからず、映像を確認してようやく理解した。記者たちの間でも「あれは何秒のことだったのか」と議論になったほど。最終的に導かれた結論は「開始12秒」でのゴールだったということだ。
18日に行われたYBCルヴァンカップのグループステージ第4節の開始直後にそれは起こった。FC東京のキックオフで試合が始まると、FW富樫敬真がMF品田愛斗を経由して最終ラインにボールを渡す。パスを受けたDF山田将之は前線にロングボールを蹴った。
そのときである。横浜F・マリノスの最終ラインとGKの間のスペースに向かっていったボールを処理しようとしたDF西山大雅と、飛び出してきたGK杉本大地が交錯。こぼれ球を富樫が古巣のゴールに流し込んでFC東京に先制点が生まれた。
ここまでで試合開始から12秒である。マリノスは38分にもFC東京のFW梶山陽平にゴールを奪われるが、とにかく前半はリズムが悪いままだった。ビルドアップでミスを連発するなど、最初の失点を引きずるような消極的なプレーが目立った。
さすがのアンジェ・ポステコグルー監督も、試合後の記者会見で「非常に残念な前半、受け入れられないような前半の内容だった」と失望を隠さなかった。いつもは勝っていても負けていても冷静沈着に試合を振り返る指揮官でさえ、この日はロッカールームでの感情を手に持ったまま会見場にやってきたような様子で、その口から発せられる言葉からは2点差を追いついての2-2という結果以上の後味の悪さが感じられた。
あの12秒の間に何が起こっていたのだろうか。ゴール前で交錯する決定的なミスを犯した西山も杉本も揃って「試合を壊した原因は自分にある」と語った。
山田のロングボールの軌道を見た杉本は「難しいボールではあったんですけど、最初は僕の中で(西山)大雅に任せて、ボールがバウンドしちゃいそうな感じがしたので、切り替えて自分が出る判断をした」と振り返った。