監督交代が全ての始まり。出場機会激減で苦境に
2017年8月31日のオーストラリア戦(埼玉)で値千金の先制弾を叩き込み、ロシアワールドカップ出場権獲得に大きく貢献した浅野拓磨(シュトゥットガルト)。その後もコンスタントに日本代表に招集され、昨年11月のブラジル戦(リール)とベルギー戦(ブルージュ)では得点こそなかったが、悪くないパフォーマンスを見せていた。
右FWは、久保裕也(ヘント)、本田圭佑(パチューカ)らによる熾烈なポジション争いが繰り広げられているが、この時点では浅野が一歩リードしていたのは間違いないだろう。
ところが、ワールドカップイヤーの2018年に入り、シュトゥットガルトの指揮官がハネス・ヴォルフ監督からタイフン・コルクト監督に代わると、浅野を取り巻く状況が一気に暗転する。
浅野がアーセナルからレンタル移籍した2015/16シーズン途中からチームを率いていたヴォルフ監督は、この若手FWの抜群のスピードや裏を突く動きの鋭さを買って左右のアウトサイドやFWの一角で起用していたが、コルクト監督は完全にストライカーの1人として位置づけたのだ。
「トレーニングのゲーム形式でも僕はずっとFW。スタメン組とサブ組でどういうトレーニングをするにしても絶対FWで、2トップでも1トップでもFWをやってます。サイドで使われたとしても、周りの選手よりできるという自信はありますけど、監督の中ではサイドのイメージがそんなにないのかなと感じます」と浅野も現状を率直に説明している。
新体制のシュトゥットガルトの基本布陣は4-4-2だが、新指揮官が2トップに据えたのはマリオ・ゴメスとダニエル・ギンチェクというツインタワー。この采配が功を奏し、シュトゥットガルトは2月3日のヴォルフスブルク戦から3月31日のハンブルガーSV戦まで8戦無敗と急浮上している。
4月8日のボルシア・ドルトムント戦は0-3で落としたものの、30試合終了時点で10位と悪くない順位につけている。これでは、スピードタイプの浅野が入り込む余地を見出すのは難しいだろう。
「今、僕が出るとしたらFWだと思うけど、監督の中でどういうイメージがあるのかは正直、分からないです。自分もイメージを持って試合に入ろうと準備してはいますけど、どういうプレーが求められるかというのは明確には変わらない。マリオ・ゴメスと組んだこともないので、難しいですね」と本人も宙ぶらりんな状況に苦悩している。