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“一発屋”デンマークを導くか。ラウドルップ以来の天才、「典型的10番」エリクセン【西部の目】

デンマーク代表とトッテナムで不動の地位を築いているクリスティアン・エリクセン。アヤックスで育まれた「典型的な10番」としての能力は、母国の伝説ミカエル・ラウドルップを思わせる。かつてEURO92を制したこともあるデンマークだが、ロシアワールドカップで躍進するとすれば、エリクセンが大車輪の働きを見せているに違いない(文・西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

デンマークの宝

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クリスティアン・エリクセンは、ミカエル・ラウドルップの後継者と呼ぶに相応しい【写真:Getty Images】

 デンマーク南部のミドルファートという街の出身。人口1万5000人ほど、水辺の静かな雰囲気の街らしい。クリスティアン・エリクセンが生まれた1992年は、デンマーク代表が初のビッグタイトルであるEUROを制した年だ。

 もともとデンマークのグループを勝ち上がったのは旧ユーゴスラビアだった(ちなみに監督はイビチャ・オシム)。しかし、内戦の影響でユーゴは出場できずデンマークが持ち上がりで出場することに。隣国スウェーデンの開催だったが、代表選手たちは皆バカンスに出かけていたという。それがあれよという間に優勝してしまった。長いシーズンを戦った後の大会に臨むにあたって、トレーニングなどせずに休養にあてたほうがいいのではないかという議論があったのを覚えている。

「典型的なダニッシュ・スクールの選手だね」

 エリクセンがアヤックスでプレーしていたころのヨハン・クライフのコメントである。クライフがどういうデンマーク人観なのかはわからないが、おそらくミカエル・ラウドルップが念頭にあったはずだ。ドリームチームの中心選手だった。デンマークがラウドルップのような逸材を次々と輩出できているわけではないけれども、エリクセンについては後継者と呼ぶに相応しい。

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