ゴールにとどまらない貢献。攻撃陣の連係の中心には本田の姿が
このシーンにおいても本田の手前にはサガル、相手の右センターバックの背後にはパラシオスがおり、本田が中に入る動きに合わせて裏を狙っていた。彼らを使う選択肢もあったが、本田としてはゴールのイメージができていたのだろう。迷うことなく左足を振り抜いた。このように前線がうまく絡み、いくつか選択肢があることにより相手のディフェンスも的を絞ることが難しくなる。その中でシュートチャンスを見出すことができている。
31分のアシストは相手が前からプレッシャーをかけてきたところを中央に流れた本田がヘディングでつないだ流れから。サガルのワンタッチのポストを本田が受けると、2人のディフェンスを引きつけて長めのスルーパスを送る。左サイドから相手サイドバックの背中を取って裏に抜けたアギーレが、飛び出してきたGKをあざ笑うように右足のワンタッチでゴールに流し込んだ。
相手のディフェンスが縦に間延びしている状況だったが、やや距離が開いた中でも出し手と受け手の呼吸がピタリと合ったことで生まれたゴールだった。このシーンのポイントはヘディングでつないだ直後に動き出してサガルのパスを引き出したこと。ここで相手のボランチより先手を取ったことで、サントスの守備は中盤のプレッシャーがかからず、ディフェンスラインも下がりながら対応せざるをえなくなり、アギーレの動きについていけなかった。
39分にヘスス・イシハラのパスからジャニニーに決められて1点差に迫られたパチューカ。さらにサントスの激しい反撃にあった後半は本田もディフェンスに追われるシーンが目立ったが、何とか耐えながら機を見た速攻で随所でボールキープ力を発揮した。そして終盤に左サイドを起点とした鮮やかなカウンターから、サガルのクロスにパラシオスが飛び込んで合わせて3点目。良い時間帯に点を取り、苦しい時間帯に耐えて最後に突き放すという理想的な試合展開で上位チームを破った。
後期リーグも残るは2試合。パチューカは次節アウェイでケレタロと、最終節にホームでアトラスと対戦する。どちらも下位の相手であり、現在のパチューカであれば勝機は十分だが、後期だけで7得点7アシストの本田を筆頭にサガル、パラシオス、アギーレを絡めた攻撃陣がサントス戦のようなコンビネーションを発揮できればリギージャ進出が見えてくる。
(文:河治良幸)
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