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バルサを支える最高の脇役。『個』をつなぐ接着剤、ラキティッチが放つ“銀色”の輝き【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

セビージャの王様、バルセロナで脇役へ

 ラキティッチがバルセロナに来た2014年の夏、ルイス・エンリケが新監督に就任している。ルイス・スアレスが加入し、リオネル・メッシ、スアレス、ネイマールのMSNが結成されることになった。

 バルサには明確なフィールド上のヒエラルキーがある。フィールドの右側はシャビ、左はアンドレス・イニエスタの領域で、中央はメッシ。彼らの後方にセルヒオ・ブスケツがいる。この4人が主にプレーの決定権を持っている。どのようにプレーすべきかを心得ている4人でありチームの羅針盤となる選手たちだ。

 中でもパスワークにおいて最も重要なシャビの代役として右インサイドハーフに入ったラキティッチには、期待とともに不安も大きかった。しかし、ラキティッチはシャビの後継者というより独自路線を進むことになる。チームの構成が変化したからだ。

 ルイス・エンリケ監督は、それまで偽CFだったメッシを右ウイングへ移した。ただ、メッシ自身のプレースタイルはあまり変わらず、中央右寄りでパスを受けてフィニッシュへ向かう得意のパターンは同じ。そのぶん、右サイドに開いて幅をとる役割を右SBであるダニエウ・アウベスが担当している。右のインテリオールは実質的にメッシであり、右ウイングがダニ・アウベス。2人が前へ出るので、ラキティッチの任務は主に2人の背後をカバーすることになったのだ。

 リーグ、カップ、CLの3冠を達成したこのシーズン、ラキティッチはシャビの後継者というより縁の下の力持ちだった。

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