早くも真価問われる序盤線。取り戻したスタイルで上位定着なるか
だが結果として、その主力選手の何人かは他クラブへ引き抜かれていった。昨季の山口は退団した小池(柏レイソルへ)、庄司(FC岐阜へ、現在はベガルタ仙台)、福満(セレッソ大阪へ)、島屋(徳島ヴォルティスへ)の穴を埋めるのに苦戦し、15試合を終えた時点で上野監督は退任。それまでにわずか2勝しか挙げられず、6試合未勝利で20位に沈んでいた。
苦境のチームを救うため、かつてアビスパ福岡でDFとしてプレーしたカルロス・アルベルト・マジョール監督を招へい。何とか残留という結果は残したが、その代償としてチームのスタイルを失い、よりゴールへ直線的に向かうサッカーをすることになった。
マジョール監督の契約が延長されなかったのはおそらくそのためだろう。新たに就任した霜田監督はファンが見て楽しいサッカーを志向することを約束。試合に勝つことを当然優先しながらも、魅力的なサッカーを放棄してまで勝ち点3の獲得にこだわりすぎないようにしたいとも主張した。
結果と内容の両面でスタートは上々だったが、本当に力が試されるのは今後の4試合だ。そのうち3試合がアウェイでの戦いとなる。
まずは今週末(14日)に福岡での試合。続いて、ここまで無敗で山口と同じく今季のサプライズとなっている町田ゼルビアとのアウェイゲーム。その後は新潟をホームに迎えたあと甲府に乗り込む。
この日程を乗り越えて勝ち点を積み上げ、自信も失わずに済んだとすれば、順位表の上位に定着することができそうだ。もう一段階の昇格という夢を見始めることも不可能ではない。
(文:ショーン・キャロル)
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