「彼が堪え難いのは、態度だけで示そうとする人」(バロンケッリ氏)
アルジェリア代表でも、2014年のブラジルワールドカップで同国を歴代最高のベスト16に導いたことで高い評価を受けているが、そこでアシスタントコーチを務めた元同国代表DFノルディン・クーリシも、ハリルホジッチ氏について、「人としても監督としても素晴らしい、尊敬しうる人物だ。彼とともに仕事した3年間は非常に充実していた。結果も残せたしポジティブな思い以外にない」と話す。
「彼は非常に知的で、自分に自信を持っている。しかし他者には常に敬意を示す。ハードワークを信条とし、研究熱心だ。選手の素質を見抜く眼力にも優れている。戦術眼に優れ、経験があり専門知識も豊富。そしてスタッフや選手たちを尊重する気持ちを常に持っている」
クーリシ氏は、ハリル監督は選手でも、スタッフでも、言いたい事があれば直接話をすることを好むため、「彼に対しても、何かある場合はきちんと本人に話をすることが必要だ」と言っていた。
日本代表監督の座を解かれた最たる理由は、「コミュニケーション問題」とされているが、監督と選手が会話する機会はたびたび設けられていたというから、コミュニケーション自体はとられていたにもかかわらず、お互いを理解できていなかったということか?
この、ハリルホジッチ氏の「コミュニケーション重視説」は、現役時代にナントで攻撃パートナーを組み、指導者になってからも10年近く計6つのクラブで同氏のアシスタントを務めた”女房役”、ブルーノ・バロンケッリ氏も強調していた。
「彼が一番嫌うのは、何か問題があるのに理由も言わずに勝手にこちらがキレているような状態だ。彼は話せば必ず耳を傾ける。何かあった時に、もしわたしがただ不満を感じてクサっていたら、2人の関係はすぐに終わっていただろう。彼は分析好きな人間だから、問題があるならその原因を突き止め、解決しようとする。だから、彼とはまずは話し合うことが大切なんだ」
「彼にとって堪え難いのは、言いたい事があるのに、本人に直接言わずに、影で言ったり、態度だけで示そうとするような人だ。彼はいつでも聞く耳を持っているし、意見の違いがあるならそれをきちんと戦わせたいと思っている」