「コミュニケーションと信頼」の問題でハリル監督解任
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督はなぜこのタイミングで解任となったのか【写真:Getty Images】
4月9日、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、同7日付けでヴァイッド・ハリルホジッチ氏を解任し、技術委員長だった西野朗氏が日本代表の新監督に就任すると発表した。
田嶋会長は総合的な判断であることを強調しながらも「ただ最終的に、コミュニケーションや信頼関係の部分(の問題)がベルギー遠征後に出てきてしまった。それが最終的なきっかけになったのは事実」と語った。
大きな転機は3月のマリ戦とウクライナ戦で、その結果と内容だけでなく、指揮官と選手に生じた溝が解任の引き金になったされる今回の件は真相を探り出すことが難しい。いずれにしてもワールドカップの予選でも本大会でもない親善試合を受けて、本大会の直前に監督が解任されるのは世界でも異例中の異例であり、予選後まで拡大して事例を見ても、グループリーグ突破を果たしたのは1994年アメリカワールドカップのサウジアラビアが最後となる。
「(監督を)代えないで(グループリーグを)突破できないケースを、僕はむざむざと見ているわけにはいかなかった。少しでも勝つ可能性を追い求めた結果、この決断に至った」と田嶋会長は語るが、極めてリスクのある人事であるとともに、結果がどうあれ、ここまでの積み上げを本大会の結果から検証できなくなったことの責任を会長や技術委員会に問わないわけにはいかない。
それはさておき、ハリルホジッチ前監督にも問題はあったはずだ。合宿における選手たちとの“摩擦”はワールドカップのような大会に向かう強化の過程では大なり小なりあるもので、必ずしも仲良しグループである必要はない。ただ、彼を招聘した元技術委員長の霜田正浩氏(現・レノファ山口監督)という最大の理解者がチームを離れた状況で、技術委員会とワールドカップ本大会までのビジョン、プロセスを明確に共有できていたのだろうか。