2度の「失格」を乗り越え…山根視来を突き動かした言葉
そして、後半アディショナルタイムの最後のワンプレーで、劇的なプロ初ゴールを決めてベルマーレを2‐1の劇的勝利に導いたDF山根視来。桐蔭横浜大学から加入して3年目の無名の存在は、昨年の開幕前のキャンプで、指揮官から本来のポジションである攻撃的MFでの失格を告げられていた。
「『センスないんだよ、お前』と言いました。センスがなかったら無理だから。でも、運動能力は高いし、ディフェンスとしてのスピードも持っているので。高さがどうかな、というのはあったけど、それは十分にカバーできると思っていたので」
J2を戦った昨季の開幕戦から3バックの右で起用され、最終的には37試合に出場して経験を積んだ。しかし、FC町田ゼルビアとの最終節で前半41分に突然交代を命じられ、直後のベンチでチョウ監督から「このままじゃJ1で絶対に通用しないぞ」と檄を飛ばされた。
「あれがあってよかったと思いたいんですけど、あのときは本当に地獄だったので。そんな(代えられるような)プレーをしていたし、J2優勝を決めてからどこかおかしいというか、そのままプレーしていたら、間違いなく今は『このくらいでいいだろう』というのがあったと思うので」
山根にも心当たりがあった。だからこそ、シーズンオフに入る前にどん底へ突き落してくれたチョウ監督の愛情に感謝した。心を入れ替え、刺激を与えるために12月に入るとスペインへ飛び、UEFAチャンピオンズリーグを観戦して最高峰の戦いを記憶に焼きつけた。
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