試合のたびに新たなものを肉付けする広島
現実を直視しながら理想も追求する。この2つの要素を両立できているのが、開幕6試合負けなしと好調のサンフレッチェ広島だ。城福浩監督が求めるハードワークを、選手たちがピッチで体現する。その結果として手にした勝利が自信となり、プレーに迷いがない。
ボールに食らいつき、奪い取り、勢いそのままに迫力ある攻撃を展開。爽快感溢れるサッカーで、歓喜の輪を作ってきた。
広島が掲げるスタイルは、攻撃で主導権を握るサッカーだ。ただ、1月の始動からまず着手したのは守備面だという。“ここがゴールではない”と全員が理解しており、だからこそ今の戦い方に全力を尽くそうとしていると言える。目標に向かってまい進している段階であり、この過程を疎かにしない。広島の戦いには、一人ひとりの決意が感じられる。
そして、試合を重ねるたびにチームは新たなものを肉付けしている。明治安田生命J1リーグ第6節・柏レイソル戦の決勝点は、相手を翻弄して奪ったものだ。ボールの出し入れを繰り返し、複数の選手が連動しながら顔を出す。マークを外してフリーになった味方にタイミング良くボールが渡る。クロスを上げた和田拓也にも、ファーサイドから豪快なシュートを決めた佐々木翔にも、相手は対応できていない。広島が意図的な攻撃で柏の守備網を破っていった。
右サイドから精度の高いボールを供給した和田は、効果的な崩しで得点できた理由に最前線で戦う選手の存在を挙げた。
「トップに入れてからの動きというのは練習でもやってきたが、今日は工藤(壮人)があそこで数秒、キープしてくれることで周りが動きやすくなった。あれがダイレクトだとなかなか上がっていけないので。あそこで止めて、顔を上げてということをやってくれるのは本当に良かった」