今こそなでしこの底力を見せつける時
韓国も近年は拮抗した戦いが続き、リオデジャネイロ五輪予選では1-1のドローだった。昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権ではエースを欠いた相手に3-2で辛くも勝利したが、アジアカップでは、かつてINAC神戸レオネッサにも在籍した大黒柱のチ・ソヨンが襲いかかってくる。グループリーグ第2戦の日韓戦も激戦必至だ。
「選手には、なでしこジャパンの一員であることの責任の重さであるとか、バトンを受けて、戦いながら次へ回していくことについて、色々話をしてきています。ただ、選手たちは自分自身のプレーを必死に戦っている選手が多い。やはりチームのために何ができるか、チームとして何がなんでも勝つというところがなかなか湧き出てこないことが多かった。今回は本番ですので、自分自身の思いを振り絞って、グラウンドに立ってほしいなと思っています」
高倉監督は活動時間の限られた中、なでしこジャパンの選手たちに代表選手としての自覚を植えつけながら、組織を育てていく難しさを理解している。それでもアジアカップで問われるのは結果。中2日が続く過密日程の中で、7年前の世界一を知る経験豊富な選手たちと20歳前後の若手の融合を進めつつ、チームとしての引き出しを増やし、いかに万全の準備で試合に臨めるかが重要になる。
なでしこジャパンは7日にグループリーグ初戦のベトナム戦、10日に韓国戦、13日にオーストラリア戦が予定されている。各グループ2位以上で決勝トーナメントに進めば自動的に来年のワールドカップ出場が決定し、各グループ3位の国は5位・6位決定戦で最後の1枠を争う。高倉監督率いるなでしこたちが狙うのはもちろんアジア連覇だが、まずは日本の底力を見せつけ、ワールドカップへの道を切り開くことが最低限のミッションだ。
(取材・文:舩木渉)
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