アジアカップ開幕。W杯出場権獲得は最低限の成果
2年前、なでしこジャパンはどん底を味わった。ホームで開催されたリオデジャネイロ五輪予選でまさかの敗退。その前年にFIFA女子ワールドカップで準優勝していたチームがオリンピック出場権を逃すこととなった。
2011年にドイツで女子ワールドカップを制したなでしこジャパンは、ロンドン五輪でも銀メダルを獲得し、2014年にアジアカップで優勝。2015年のワールドカップも決勝の舞台に立った。ところが、リオデジャネイロ五輪予選敗退は「一時代の終わり」を象徴するような出来事となってしまった。
再び世界一の景色を見るために。来年フランスで開催される女子ワールドカップの出場権をかけた、女子アジアカップがヨルダンで開幕する。なでしこジャパンは7日にベトナムとのグループリーグ初戦に臨む。
リオデジャネイロ五輪予選敗退直後に就任した高倉麻子監督は、日本代表選手の条件として「テクニックがあってクレバー」「走れる」「チームのために戦うことができる」「代表への思いが強い」の4つを掲げ、約2年間にわたって様々なトライを続けてきた。今回のアジアカップは、ひとまずその集大成を披露する場だ。
先月19日に行われたアジアカップに向けたなでしこジャパン招集メンバー発表会見で、高倉監督は「とにかく、なでしこジャパンとして恥ずかしくない試合を1試合1試合心を込めて戦い、まずはワールドカップ出場を決め、目指すのは大会2連覇です。強い気持ちで臨みたいと思っています」と宣言した。
だが、アジアカップ優勝までの道のりが決して平坦ではないことを肝に銘じておかなければならない。出場8ヶ国中5ヶ国にワールドカップへの挑戦権が与えられるとはいえ、アジアのレベルは過去と比較にならないほど上昇している。今回は女子サッカーにおける強豪と認識されている北朝鮮ですら、予選敗退で出場を逃しているのである。
日本は2014年の前回大会を制しているため予選免除でアジアカップ本大会に出場できるが、2年前にリオデジャネイロ五輪予選で苦杯を舐めた経験を記憶していれば、アジアの国々が侮れない相手ばかりであることが容易に理解できるはずだ。