いくら結果を出しても呼ばれない
「仮想・セネガル」のマリ戦が1-1、「仮想・ポーランド」のウクライナ戦は1-2と、3月の2連戦を未勝利で終え、2ヶ月半後に迫ったロシアワールドカップ本大会に暗雲が立ち込めている日本代表。
前線の1トップはマリ戦が大迫勇也(ケルン)、ウクライナ戦が杉本健勇(C大阪)が先発起用されたが、ともに前からのプレッシングとボールを収める仕事に忙殺され、得点を奪うどころか、シュートチャンスすら限られたものしかなかった。
「もっと選手が責任感あるプレーをしないといけないと第一に思います。無責任なところもあると思うし、言われたことをやってる選手も見てて思う。ホントに日本代表が強くなるためにみんなプレーすべき。もっともっと自分を出していい」と大迫も反省の弁を口にしたが、最前線が積極性を前面に押し出さなければ、攻撃が大きく変わるのは難しそうだ。
今回は大迫と杉本、小林悠(川崎F)という最前線の陣容だったが、誰も結果を出せなかった以上、ここからの競争は横一線と言わざるを得ない。もちろん前線でタメを作る力に秀でる大迫は必要不可欠な駒だろうが、それ以外の選手は誰が滑り込むか分からなくなってきた。昨年9月のロシアワールドカップアジア最終予選ラストマッチ・サウジアラビア戦(ジェッダ)から半年間にわたって日本代表から遠ざかっている岡崎慎司(レスター)を呼び戻すことも十分考えられる状況だ。
昨年10月のニュージーランド(豊田)とハイチ(横浜)との2連戦でチャンスを与えられて以来、招集見送りとなっている武藤嘉紀(マインツ)も再浮上しそうな1人。実際、今季の彼はドイツ・ブンデスリーガ1部で7ゴールと大迫を上回る結果を残している。
しかも2部3位との残留・昇格プレーオフに回る16位に沈んでいるチームにいて、バイエルン・ミュンヘンなど格上との対戦が続く中、この実績を残している。にもかかわらず、昨年11月のブラジル戦(リール)とベルギー戦(ブルージュ)、今年3月の2連戦で続けて落選というのは、本人も納得いかないだろう。
「どういう選考基準かってことも定かではないから、とにかく自分はやり続けるしかない。自分のベストを尽くして、いい結果を出して、それでも呼ばれなかったらしょうがない」と武藤は3月17日のフランクフルト戦後に苦渋の表情を浮かべていたが、彼の複雑な心情も大いに理解できるところだ。