ブラジル・レフティ・左サイドバック
日本人にもいろいろな人がいるように、ブラジル人といってもさまざまだ。とはいえ、マルセロのイメージは典型的なブラジリアンといっていいのではないか。陽気でいつも歌っていて、自由で、そしてサッカーが上手い。
セレソンの左サイドバックは、なぜだか我々が思っているような典型的なブラジル人に受け継がれてきた。ロベルト・カルロスがそうだったし、ジュニオールもしかり。なぜか、いかにもブラジル人というタイプがいつもこのポジションにいる。しかめ面など似合わない、どんなときにも鼻歌まじりに切り抜けていくタイプだ。
11あるポジションで、唯一左利きでなければならないのが左サイドバックである。センターバックの左側も左利きが望ましいが、サイドバックの場合はマストといっていい。レフティでなければ両足利き。とにかく左足は自由に使えなければならない。
左足側にボールを置けること、そこから左足のフィードができること。なぜそうなのかは、逆に考えてみればわかる。左サイドバックが右足側にボールを置いたとき、敵が定石どおり内側のコースを切りながら寄せてくるとする。そのとき空いているタッチライン方向へのパスを右足で行うとなれば、かなりアングルは限られてしまう。左足で蹴れば届く距離が右足では届かない、アウトサイドでカーブをかければ別かもしれないが、左利きのほうが格段に有利なのだ。
左サイドバックより前のポジションについては、どちらが利き足でもそれなりのプレーはできる。だが、左サイドバックだけは左利きでなければフィールドを使いきれない。