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Jリーグ 7年前

広島・城福監督が称賛した工藤壮人。ノーゴールの「背番号9」が果たした大きな役割

text by 藤江直人 photo by Getty Images for DAZN

現状が完成形ではない

 迎えたオフ。移籍で加入した際に希望しながら、去就がはっきりしなかったピーター・ウタカが背負っていた関係で断念した「9番」への変更が決まった。柏レイソルで、そしてバンクーバーでも自身の象徴だった背番号とともに、捲土重来を期した直後にティーラシンの加入が決まった。

 チャンスが与えられたのはYBCルヴァンカップ。2試合を終えたグループリーグでともに先発フル出場し、ガンバ大阪との初戦では2ゴールをゲット。連勝スタートに貢献して、J1の舞台に立つ機会をうかがい続けた。そして、初先発を果たしたフロンターレ戦で最低限の結果を残してみせた。

「もう少しプレーしたかった、という思いは正直あります。ただ、個人というよりもチーム全体が少しずつでも前進していくためにも、水曜日にはまたルヴァンカップがあるので、そこで勢いをつけて週末のレイソル戦へいい形で臨んでいければいいんじゃないかと。

 J1では開幕してから1失点ですし、そこは継続していきながら、ただ守備に重きを置きすぎかな、と感じているので。攻撃の選手としてはまだまだ物足りなさはありますし、攻撃面で崩すというところは課題というか、勝ってよし、ではないという部分があると思っています」

 新チームの始動がJ1で最も遅く、なおかつ序盤戦で浦和レッズ、鹿島アントラーズ、そしてフロンターレとすべて敵地で対峙するスケジュールをにらんだ城福監督は、まずは守備の構築を開幕までの限られた時間内で間に合わせるチーム作りを進めてきた。

 もともとはボールを握り倒すスタイルを標榜しているだけに、首位に立った現状が完成形とは指揮官も、そして選手たちも思っていない。シーズンと同時進行で攻撃面を熟成させていく戦いで、J1で3度の2桁ゴールをあげているストライカーは身心の状態を万全に整えながら、出場機会を待ち続ける。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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