リーグ5戦目で掴んだ初先発
リーグ戦で5試合目にして、初めて先発の大役を担った。それまでの出場機会は浦和レッズとの第2節で、2‐1とリードした88分から投入されただけ。城福監督のファーストチョイスはパトリックと、ムアントン・ユナイテッドから期限付き移籍で加わったタイの英雄、ティーラシンとなった。
「川崎のようなチームに対して、引いて守り続けるのは難しい。前から奪いに行くスタンスを、最初から貫かない限りは難しいだろうと。守備をしているんだけれども、ある意味で自分たちがイニシアチブを取っているような場面を作り出す、ということも含めてトレーニングしてきたので」
コンパクトな陣形を保ちながら、前線から激しいプレスをかける戦いを遂行していくうえで、ティーラシンではなく献身的なプレーも演じられる工藤を指揮官は指名した。期待に応えるように、5月には28歳になる元日本代表FWはボールホルダーへプレッシャーを与え続けた。
総走行距離を比べれば、交代枠を使い切ったフロンターレの105.75kmを、ひと枠余したサンフレッチェの112.346kmが大きく上回った。プレスの「一の矢」を担った工藤の背中が羅針盤となり、ハーフタイムコメントでは城福監督をして「我々のほうが走れるぞ」と檄を飛ばさせた。
5試合でわずか1失点。全員が連動してのハードワークを守備の、そしてショートカウンターを攻撃の軸とする現時点の戦い方が、新生サンフレッチェの完成形ではないと工藤は前を見すえる。
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