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Jリーグ 7年前

広島・城福監督が称賛した工藤壮人。ノーゴールの「背番号9」が果たした大きな役割

昨シーズンはJ1残留争いを強いられたサンフレッチェ広島が、名門復活の狼煙をあげつつある。3月31日に等々力陸上競技場で行われた、王者・川崎フロンターレとの明治安田生命J1リーグ第5節を、早くも3度目となる「ウノゼロ」勝利で制して首位に浮上した。今シーズンから指揮を執る城福浩監督(57)が殊勲者として称賛したのは、初めて先発に指名したFW工藤壮人(27)。無得点のまま59分にベンチへ退いたストライカーが演じた大仕事と、試合後に抱いた心境を追った。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images for DAZN

城福浩監督が送った最大級の賛辞

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工藤は試合後、取材エリアでほんの一瞬ながら戸惑った表情を見せた【写真:Getty Images for DAZN】

 思わず苦笑いを浮かべた。川崎フロンターレとの無敗対決を1‐0の完封劇で制し、首位に浮上した直後の敵地・等々力陸上競技場の取材エリア。幾重ものメディアの輪に囲まれたサンフレッチェ広島のFW工藤壮人は、ほんの一瞬ながら戸惑った表情を見せていた。

 3月31日に行われた、明治安田生命J1リーグ第5節後の公式会見。今シーズンからサンフレッチェを率いる城福浩監督は、シュートを1本放っただけでゴールを奪えないまま、最初の交代として59分にベンチへ退いていた工藤へ最大級の賛辞を送っていた。

「思い描いていた守備のスイッチを、工藤が非常によく入れてくれていた。本来はその後にペナルティーエリアのなかで仕事をしたかったと思うし、僕もさせたかったんですけど、大事なミッションのひとつを彼がやり続けてくれたことで、組織として崩されることはがなかった」

 指揮官の言葉を伝え聞いた瞬間の工藤の反応が、冒頭で記した苦笑いと一瞬ながら戸惑った表情だった。リーグ屈指の破壊力を誇るフロンターレの攻撃を寸断し、チームの無敗キープに少なからず貢献できた手応えと、ストライカーが抱く矜持の間で心が揺れ動いていたのだろう。

「監督からは守備のスイッチのところは言われていたのでもちろん意識していましたし、相手は本当に嫌がっていたというか、ファウルを含めて止めていたのがジャブのように効いてきたと思っています。後半の半ばくらいからは気持ちも切れてきたのか、フロンターレらしくないミスも多かった。

 そこ(守備)に関しては皆さんがどのように評価するか、というところにかかってくると思いますけど、そこまで嬉しいかと言われればどうなのかな、という部分があります。点を取るというところでは正直、チャンスそのものがほとんどなかった、という感じを僕自身は受けているので」

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