コロンビアに圧倒されるもドロー決着
一方の豪州は、ノルウェー戦の後に軽い故障で離脱したムーイ、さらには前述のセンターバックのファーストチョイスであるセインスベリーとヤーマンのコンビを欠いたことで、レギュラー争いに絡んでくるメンバーが世界の一線級相手にどの程度やれるかの試金石ともなった。
特に、ミリガンとデゲネクの2人は、ノルウェー戦の4失点の後、豪華なコロンビア攻撃陣相手に自らの価値を証明する“セカンドチャンス”を与えられただけに、目に見える結果が求められる大事な試合となった。
試合は、大方の予想通りに攻撃力が勝るコロンビアが優位に進める展開。攻撃時には両サイドバックが思い切ってポジションを上げるコロンビアの背後のスペースを突きたい豪州だったが、カバーに入るスピード豊かなディフェンス陣の見事な対応もあってなかなか良い形を作れない。
逆にコロンビアは、攻撃的なサイドバックも加えて中盤と前線の選手が連動してチャンスを作り出す。特に左サイドバックのヨハン・モヒーカ(ジローナ)はスピード溢れる突破から前線に好クロスを数度上げるなど、試合を通じて、その凄まじいまでの運動量をいかんなく発揮した。それでも、前半はファルカオ、ハメスの2枚看板が精彩を欠き、豪州DF陣も集中力を切らさずドローのまま終了した。
コロンビアは、ファルカオに代えて、後半の頭から25歳の大型FWミゲル・ボルハ(パルメイラス)を投入。今一つ動きが鈍かった大エースの交代で、前線が活性化する。大柄で思い切りの良いプレーを見せるボルハは後半だけでPKを含むシュート5本を放った。PK失敗を含めてその決定力には課題が見えたが、フィニッシュの精度が上がってくれば面白い選手だ。
豪州は司令塔ムーイの不在が大きく影響した。前線への有効なパスがなかなか入らないことに加えて、両サイドがコロンビアの攻撃的なサイドバックの対応に追われたことで、なかなかサイドからの展開に持ち込めないまま、シュートはわずか7本。ゴールは遠かった。
試合終了5分前の相手PKをこの試合が代表デビューとなる元ベガルタ仙台のGKダニー・ヴコヴィッチ(ゲンク)が弾き出したことで負けずに済んだ。この試合での最大の収穫は、ダブルボランチの一角に入ったマッシモ・ルオンゴ(QPR)の出来。積極的なボール奪取と得意のドリブルで存在感を発揮し、ムーイ不在で生じるマイナスを最低限に抑える活躍を見せた。