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バルサに冷や汗かかせたセビージャの”3つの嫌がらせ”。唯一止められなかった不確定要素はやはり…

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

セビージャが唯一止められなかった「不確定要素」

リオネル・メッシ
最後はリオネル・メッシが同点弾【写真:Getty Images】

 36分、中盤で相手のジョルディ・アルバのパスをカットしたセビージャは、一度右サイドのヘスス・ナバスへとパス。左サイドバックの裏をとることで相手守備陣をボールサイドへと誘導したナバスは、一気に逆サイドのホアキン・コレアへとボールを展開した。セビージャは、左サイドバックのセルヒオ・エスクデロも攻撃に参加することでバルセロナの右サイドバックに対し2対1を作り、最後は余裕をもったコレアから中にパスが出され先制点が決まっている。

 縦への素早い攻撃が実ったセビージャは、後半はボールを保持しながら相手ゴールに迫った。バルセロナは、3ボランチのうち前方のインサイドハーフ2人がセビージャの2ボランチへと積極的にプレスをかけようとしたため、アンカーの脇のところに大きなスペースを空けていた。セビージャ側は、前線のコレアやバスケスがそこを使うことで効果的な崩しを試みた。50分の追加点も、バスケスがアンカー脇のスペースでボールを受けたところから始まっている。

 為す術がないバルセロナは、58分にメッシを投入することで流れを変えようとした。エースの力は崩しの面では大きく機能したもののボールを奪われた後の対応は改善されず、セビージャ側の高速カウンターから何度も失点のピンチに晒された。

 それでも試合終盤は、体力的な面が影響してかセビージャのプレス開始位置が徐々に下がり、メッシがパスワークに参加したことで横の揺さぶりが増えたためバルセロナが相手を押し込む時間帯が増えた。88分のコーナーキックからのスアレスの得点や、その1分後のメッシの得点は、その流れから決まったものであった。

 ボールを保持し動かしながら相手の守備の虚を突きたいバルセロナに対し、セビージャは「カウンター」「ハイプレス」「ボール保持攻撃」という相手の嫌がる戦い方を高いレベルで実行できていた。勝利を手にするには、メッシという不確定要素を最小限の活躍に抑え込むというタスクの遂行が必須であった。

 一方バルセロナは、何とか終盤の2ゴールで引き分けを手にし、無敗記録を継続することができた。押された展開でも試合に負けないことはリーグを戦う上では大事だが、それ以上にセビージャの試合内容は、シーズンが佳境に入るにつれて戦術的にまとまりのあるチームと対戦することを考慮すると、不安を募らせるものとなったかもしれない。

(文:長坂祐樹)

【了】

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