ハリルの「テスト」しすぎで失った熟成の時間
ハリルホジッチ監督が責められるべき部分はここにある。日本代表がワールドカップ予選突破を決めて以降の6ヶ月間で、ボスニア人指揮官はたびたびメンバーを入れ替え、様々な選択肢をテストしようとしてきた。前線の3人のポジションに関しては特にそうだ。
この間に、サムライブルーの前線では9人の異なる選手たちが先発で出場してきた(EAFF E-1サッカー選手権は含まず)。原口元気、久保裕也、大迫勇也の3人が特に好まれていることは変わらないようだが、彼らの誰一人としてその立場を正当化するだけの結果は残せていない。昨年10月6日のニュージーランド戦で大迫が決めたPKが、彼ら3人の記録した最後のゴールである。
原口がウクライナ戦でPKを獲得しようと試みていた見苦しいプレーが、現在の状況をよく表している。抵抗力のある守備陣に対して効果的に突破を図る術を見つけられず苦しんでいる様子であり、その違和感により生まれるフラストレーションに打ち勝つことができていないようだ。
だが全てが失われたわけではない。岡崎慎司や香川真司、清武弘嗣、武藤嘉紀、乾貴士といった選手たちもまだ十分に候補の枠内に残されており、手遅れになる前にチームにプラスアルファを加えられる選手たちは存在している。
とはいえ、テストと修正を行える時間は終わりに近づきつつある。ハリルホジッチ監督は選択肢を確定させ、そのメンバーに理解を深める機会と自由を与える必要がある。
監督から先発11人の座を託された選手たちも、プレーの改善に努めなければならない。ここ最近のパフォーマンスをそのままワールドカップに持ち込んでしまうようでは、4年前のブラジルでの控えめな戦いぶりから何かが変わるとは考えにくい。
(文:ショーン・キャロル)
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